【日立製作所】 第11弾:流通BMSへのスムーズな移行、ワンストップで支援

日立製作所
エンタープライズソリューション事業部
流通システム本部
第二システム部
チーフプロジェクトマネージャー
大木 昇氏

 

 2007年に流通BMSが公開されてから6年。今や流通業界に欠かせないインフラとなっている。急速に普及している流通BMSだが、なかなか導入に踏み切れない企業からは「導入の仕方が分からない」「社内のコンセンサスを得るのが難しい」といった声を聞く。そこで今回は、流通BMSの策定期から関わり、現在もEDIソリューション「REDISuite(レディスイート)」を通して流通BMSの導入をワンストップで支援する日立製作所に、移行にまつわる課題と成功に導く解決策について取材した。

 


業務プロセス効率化に大きな効果

 

 流通システム標準普及推進協議会によると、流通BMSの導入企業数は小売業者で141社(社名公開企業数、13年7月1日現在)、卸・メーカーで約5700社(推計値、13年6月1日現在)と、急速に普及が進んでいる。しかし、すべての取引先と流通BMSでデータ交換を行っている小売業者は多くない。昨年の内に強制的に全取引先とのデータ交換を流通BMSに切り替えたイオングループなどを除くと、ほとんどが流通BMSと既存EDI(JCA、Web-EDI)との並行運用を続けているのが実情だ。

 

 流通BMSに切り替えるためには、何らかのきっかけが必要だが、大木氏は「小売業者は、業務プロセスを統一することで、劇的な効果が得られることを認識すべきです」という。多くの小売業者は取引先に応じた業務プロセスを採用しており、この個別対応が業務の負担や運用コストの増加を招いている。これを標準仕様の流通BMSに統合するだけで、業務の効率化は確実に加速されるのだ。

 

 もうひとつ考えられるきっかけは、物流センターの新設や機能変更がある。取引先に負担を強いることになるが、将来的に見ればメリットのほうが大きい。「流通BMSイコール物流EDIといってもいいほど、流通BMSは物流に変革をもたらします。流通BMSで定義している発注から納品までのプロセスは最先端の物流システムでも超えることはできません」と大木氏は強調する。

 

 

社内コンセンサス固め、標準化順守


 しかし、いざ流通BMSを導入する段になると、投資回収に伴う課題と技術・移行に伴う課題の2つが立ちはだかる。投資回収面では、スーパー業界全体で販売苦戦が続いていることによる影響も大きい。日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の3団体の発表によると、12年度の全国食品スーパー総売上高は前年度比2.0%減を記録。売り上げの横ばい状態が続く中で、どの小売業者もシステムへの投資に踏み切れない事情がある。しかも流通BMSへの移行期は流通BMSと既存EDIの両方を用意しなければならないため、慎重にならざるを得ない。一方の技術面では、「導入の仕方が分からない」といった基本的な課題から、「既存EDIの項目が流通BMSの標準メッセージに含まれていない場合は標準外利用になってしまう」といった課題まで幅広い。

 

 こうした問題に対して大木氏は次のような解決策を提案する。

「投資回収面ではまず、メリットを訴求して社内のコンセンサスを得ることが重要です。流通BMSの導入で実現する業務プロセスの標準化と物流改革は、結果としてコスト削減に結びつくことを、システム部門と物流部門が協力して経営トップに説明してください」

 

 技術面においては、流通BMSを導入する際に標準化を順守することが重要だ。流通BMSの標準メッセージの中に含まれていないと思われる既存EDIの項目も、実際は何らかの形で含まれていることが多い。しかし、各小売業者が定めた既存EDIの項目と、流通BMSが標準で定めている項目の対応が分かりづらいために、その場しのぎで標準外のメッセージを追加してしまうケースが増えている。

 

 「本来、標準化を維持する担い手はITベンダーですが、技術力不足から自ら掟破りをしてしまうITベンダーも少なくありません。流通BMSを導入する際は、標準化を正しく理解して親身に相談に乗ってくれるITベンダーに依頼すべきです」(大木氏)

 


移行切り替えから運用・保守・サポートまでワンストップ


 「導入の仕方が分からない」という基本的な課題に関しては、実績が豊富なITベンダーに相談するのがベストだ。日立製作所は、06年度に実施された流通BMS標準化事業の共同実証プロジェクトから参画し、そこで得たノウハウを基に開発した日立トータルEDIソリューション「REDISuite」を07年から提供している。「REDISuite」は、自社に導入するクライアント/サーバー型のシステム、自社でシステムを持たないSaaS型のサービスまで、あらゆるニーズに応えるEDIシステムをそろえている。そのため、小売業者、卸売業者、メーカーそれぞれにあったシステムが導入できる。現在は、卸売業者やメーカーを中心にクライアント/サーバー型の採用が進む一方で、店舗数が多いスーパーなどの小売業者を中心にSaaS型の導入が増えているという。

 

 日立の強みについて大木氏は「導入のコンサルティングからシステム構築、移行時の切り替え対応、導入後の運用・保守・サポートまでワンストップで対応できること」と語った。REDISuiteの導入実績は、13年7月時点で約200社。総合スーパー、スーパーマーケット、ドラッグストア、百貨店といった小売業者から、アパレル、食品、菓子関係の卸売業者や各種メーカーまで、あらゆる流通事業者への導入を同社は支援してきた。そのため、蓄積されたノウハウは膨大にあり、過去の経験を基に的確な導入方法をアドバイスできる。「導入の方法が分からない企業に対しては、他社の成功事例を参考にしながら、その企業の規模や用途にあったベストな方法を提案しています。経営トップに流通BMSの導入を働きかける際には、投資効果の洗い出しからサポートすることも可能です。既存EDIの項目に関しても流通BMSの標準化を順守し、標準外利用を徹底して排除する方針で臨んでいます」と大木氏は説明する。

 

 小売業者が流通BMSに移行する際、最も戸惑うのが取引先への説明だ。時として何百社、何千社を一堂に集めて説明会を開催しなければならない。同社は移行時の切り替えも支援しており、取引先説明会の資料作成ツールまで提供するので、煩わしい手間が省ける。導入後も同社のヘルプデスクがサポートをするほか、流通BMS相談室を設けて運用の相談に乗っているので安心だ。

 

 

ビッグデータに対応した「流通分析ソリューション」も提供


 同社のさらなる強みは、流通BMSの先にある基幹システムや流通システムまでサポートできることにある。例えば、ビッグデータに対応した「流通分析ソリューション」を用いれば、流通BMSの標準メッセージに含まれるPOS情報、発注情報、出荷情報はもちろんのこと、基幹システムで管理している在庫情報、SNSの口コミ情報なども含めた大量のデータを一括で分析しながら、需要予測を立てたり販売戦略を立てたりすることも可能だ。最後に大木氏は「流通BMSを単なる受発注システムのリプレースと捉えるのは間違いです。業務改革、物流改革につながること、ひいては流通システム全体の最適化につながることを認識して、いち早く流通BMSに移行してください。当社はさまざまなサービスを用意してお待ちしています」と語った。

 

※REDISuiteは、日立製作所と日立システムズが提供する流通業向けEDIソリューションの総称です。

 

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