EDIソリューション「REDISuite」がRPAやAI-OCRを搭載して大幅に進化。企業のDXを支援するデータ連携基盤へ

株式会社日立システムズ
産業・流通情報サービス第二事業部 第二システム本部
主管技師長
會澤 英之 氏


産業・流通情報サービス第二事業部 第二システム本部 第三システム部 第一グループ
主任技師
古澤 三奈 氏

 

産業・流通営業統括本部 第五営業本部 第三営業部 第一グループ
部長代理
鎌田 信也 氏

 

産業・流通営業統括本部 第五営業本部 第三営業部 第二グループ
主任
藤井 雅之 氏

 


 INS回線の終了が24年1月に迫り、企業の多くがインターネットEDIへ移行を進めている。デジタル化の波が全産業に押し寄せている今、これを機にデジタルでビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」にチャレンジする千載一遇のチャンスでもある。
 流通のデジタル化を支援してきた日立システムズは、実績のあるEDIソリューション「REDISuite(レディスイート)」に、ロボットによる自動化機能(RPA)や、人工知能を用いたOCR機能を追加した新サービスをリリースした。これにより、社内外のシステムとデジタルデータでつなぐ連携基盤に進化を遂げている。今回は新サービスのコンセプトと注目の機能を紹介する。

 

異業種への参入に備えて接続先の業態にとらわれない新たなデータ連携基盤へ

 

 「現在では製造業が小売業に参入するなど多くの企業が異業種への参入を行っており、今後5年以内にはさらに異業種参入が進み業種や業態の垣根がなくなっていくと予想しています。その際に課題となるのは異業種参入する際に必要となる業種や業態ごとに標準化されたEDIへの対応や、業種、業態ごとの異なる慣習への対応などです。当社が提供するREDISuiteは、業種や業態に特化せず、多種多様な業種、業態の企業がご利用可能なEDIソリューションであり、取引相手となる接続先、連携先の業種、業態を意識することなく企業間データ連携が行えるようにしております。さらに、必要な機能やサービスメニューを拡充し、INS回線の終了を機にインターネット回線を利用したEDIに移行する際には、単に方式を変えるだけではなくお客さま業務の効率化が行えるような高い付加価値を提供していきます。」と語るのは、主管技師長の會澤英之氏だ。

 

 企業間の取り引き、情報連携で挙げられている代表的な課題のひとつが、FAXや紙ベースによる書類での情報の連携。取引先から紙の伝票や書類を受け取り、それをシステムに手作業で入力する作業は非常に効率が悪いが、中小の取引先を相手にする場合はどうしても廃止することができない。一方で新型コロナウイルス感染症の対策として、在宅勤務(テレワーク)が求められている中、データ入力のためだけに出社しなければならない状況も生まれ、電子化へのニーズは急速に高まっている。この流れは、コロナ禍が終息した後も続くと思われる。

 

 そこで日立システムズは、社外との情報連携における課題を解決するべく、REDISuiteにロボットによる自動化機能(RPA)、人工知能を用いた文字データ変換機能(AI-OCR)、送受信したEDI取引データを自動で保存する電子帳簿保存サービスを追加し、2021年8月にリリースする。「これらの機能により、異業種間のデータ交換にまつわるさまざまな課題や、紙の書類に関する問題を解消しお客さま業務の自動化、効率化が実現できます。RPA、AI-OCR、電子帳簿保存サービスの3つは、REDISuiteのオプション機能として提供するため特別な導入作業は発生せず、企業規模に関係なく手軽に導入いただけます」と會澤氏は強調する。

 

 

RPAやAI-OCRを活用して取引先との受注業務を効率化

 

 ここからは具体的な活用方法を見ていく。まず受注業務において、WebEDIやFAXでデータ交換しているケースを考える。流通BMSの普及は進んでいるものの、いまだにWebEDIやFAXを使っている事業者は多い。

 

 発注側が用意したWebEDIを受注側が利用する場合、受注側もそれを手作業でダウンロードして基幹システムに取り込んでおり作業負荷が発生する。発注側がFAXで発注書を送ってくる場合は、受注側で紙の書類を見ながら基幹システムに手入力する必要があり作業負荷が発生する。また、結果として誤入力や登録遅延等につながり、業務効率が著しく低下する。

 

 REDISuiteのRPA機能を活用すれば、WebEDIのデータアップロードおよびダウンロードが自動化でき上記のような手作業は一切不要になる。FAXで受信している発注情報はPDFにしてREDISuiteに送ることでAI-OCR機能で自動的に文字を読み取り、データに変換してEDIデータとして連携することができ、それを基幹システム等に登録すれば、手作業による入力処理を省略することができる。元々、REDISuite自体は多様なデータタイプの変換・振り分けに対応しているため、得意先向け受注Webなども含めてすべての社外情報連携をREDISuiteに統合することで、取引先、得意先などの社外との連携インタフェースを一本化することも可能だ。

 

 

 今回リリースしたRPA、AI-OCR、電子帳簿保存サービスの中でも、特筆すべきはFAXなどの紙の書類を自動登録するAI-OCRの機能。開発を担当した主任技師の古澤三奈氏は「独自開発したAI-OCRは、複数のAI-OCRエンジンを搭載し、読み取り文字の特性に応じて自由に選択できるようになっています。精度を高めるために、複数のエンジンで同時に読み取るばかりでなく、関連するデータと突き合わせることで整合性を確保する工夫もしています」と解説する。

 

 AI-OCRでは、FAXを取引先やお客さま先でPDFファイルに変換して送信し、受信したPDFファイルをAI-OCRで読み取ってCSVなどのさまざまな形式のデータに変換してからEDIと連携する。導入時は日立システムズが事前作業としてOCRテンプレート作成し、お客さまによる読み取り精度を確認してから利用開始となる。

 

 

 電子帳簿保存サービスは、導入企業が送受信したEDI取引データを、REDISuiteが自動的に保存するサービスだ。ペーパーレス化の促進を目的とした電子帳簿保存法が20年10月に改正され、EDI取引のデータも7年間の保存が必要になった。電子帳簿保存サービスでは、REDISuiteに専用のデータベースサーバーとファイルサーバーを用意して7年分のEDIデータをすべて保存する。保存データは必要に応じて、専用のWeb画面から日時や接続先などで検索してダウンロードすることが可能だ。電子帳簿保存サービスの活用で、紙帳票の保管場所の削減や管理作業の効率化が実現する。

 

 

 

日本全国の販売拠点や販売代理店を通して、地方の中小企業にも展開

 

 日立システムズは、06年度に実施された流通BMS標準化事業の共同実証プロジェクトから参画し、そのノウハウをもとに開発したREDISuiteを07年から提供している。すでに15年近くの実績があり、採用企業も大手の小売・卸売業から中小の小売・卸売業、さらには商社、製造業、金融業など幅広い。今後も多くの企業にREDISuiteのメリットを訴求、発信していく考えだ。

 

 営業担当である主任の藤井雅之氏は「日本全国にある日立システムズの支社およびグループ会社の営業拠点を通して、地方の中小企業のお客さまにも製品を知ってもらう活動をしていきます。そのために、営業拠点に対する教育活動も充実させていく予定です。21年4月にはYouTubeの日立システムズ ブランドチャンネルでREDISuiteの製品情報を発信する取り組みも始めました。ホームページの製品紹介サイトも随時見直し、全国のお客さまに分かりやすい情報を発信していきます」と語る。

 EDIソリューションとして誕生し、実績を重ねてきたREDISuiteだが、今後は業種業態を超えて幅広い企業が利用できるデジタルトランスフォーメーションを実現するデータ連係基盤として発展させていきたいと営業担当である部長代理の鎌田信也氏は語っている。「REDISuiteは流通業向けのEDIソリューションを超えて、今後はより幅広い業種業態でさまざまなデータを取り込むためのデータ連携基盤として進化を続けていきます。お客さまはREDISuiteにつなげば必要なデータが取り込めるようになります。既存EDIから乗り換えの際はぜひご検討ください」。

 


記事中で紹介されている製品の詳細や関連情報はこちらでご覧いただけます。
https://www.hitachi-systems.com/solution/s005/redisuite_centerservice/index.html

 

 

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