【近商ストア】 流通BMSの導入で手書き伝票を廃止し自動発注を実現


株式会社 近商ストア

情報システム部長 安井 直洋 氏

 

 

 株式会社近商ストアは、昭和28年に設立、近畿日本鉄道(近鉄)グループに属する総合スーパーチェーンだ。日本の私鉄の中で最長の営業路線を誇る近鉄沿線(大阪、奈良、京都)を中心に、総合スーパーや食品スーパーなど44店舗を展開、売上高は624億円(2007年度)である。

 近商ストアでは、スーパー業界で次世代の標準EDIが検討されていたことから、その決定に合わせてシステムを更新し、2007年7月に流通BMSに対応した新EDIシステムの稼動を実現した。これにより、年間64万枚にのぼる伝票をほぼゼロとし、新EDIとPOSとの連動で自動発注を実現。自動化に伴う省力化、コスト削減などで1億円強もの大きな成果を上げている。

 

 

事例のポイント

・取引量では8割が流通BMSに移行予定

・年間64万枚にのぼる伝票がほぼゼロに

・EDIとPOSとの連動で自動発注が実現

 

 

導入概要

 近商ストアでは、発注処理や電送処理にかなりの時間がかかるなど、これまで使用してきたJCAによるEDIの発注システムに限界が目立つようになってきていた。そうした中、2006年6月には更新の時期を迎えることから、次期システムの検討を開始したものの、時期を同じくして、スーパー業界で次世代の標準EDIが検討されていたことから、その決定を待つこととした。そして、更新の時期を延ばして2006年11月より流通BMSに対応した新EDIシステムの構築に取り組み始め、2007年1月に次世代標準EDIを含めた取引先説明会を実施。5月よりシステム開発・テストを行い、同年7月に新システムの稼動を実現した。

 

 現在、同社の約500社程度ある取引先のうち、新EDIシステムで取引を行っている企業数は10社だが、その10社が大手の主要な取引先であるため、すでに取引量では3~4割程度を占めるまでになっている。今年中には、グロサリー、アパレル、生鮮など合わせて数十社までに拡大予定で、取引量では8割程度を占める予定だ。

 

取引先を集めて説明会を10回以上開催

 新システムの導入に当たっては、システムの構築以上に気を使ったのが、取引先への説明だった。情報システム部長の安井 直洋氏は、「実は、JCA手順さえもできない取引先が100社ほどありました。特に、新しい取引先はJCAを知らないところも少なくなく、モデムも手に入りません。こうした取引先は生鮮食品やアパレルに多いのですが、『JCAって何ですか?』と逆に質問されるくらいの状況でした。そこで、新EDIシステムの導入に当たっては、啓蒙なども目的に取引先を集めて流通BMSに関する説明会を東名阪で10回以上も開催しました」と言う。


 もちろん、システム対応力のない取引先は、今回の切り替えに合わせて流通BMSへの変更を依頼しても対応してもらうのは無理であるため、当面はWeb EDIのブラウザ型で対応してもらうこととした。同社では、システム化の効果をできるため高めるため、100%EDI化を目標としていることから、取引先に対し、「いずれは流通BMSが主流になるので、直接流通BMSに移行することができないのであれば、まずはWeb EDIに移行し、次のステップとして流通BMSの導入を目指してください」(安井氏)と説明したと明かす。


 なお、Web EDIのファイル交換型とブラウザ型の割合は、ブラウザ型が約300社、ファイル交換型が約150社だが、ブラウザ型からファイル交換型へ、さらにファイル交換型から流通BMS型へと移行が進んでいく傾向だという。

 

 

 

導入効果

通信時間の大幅短縮

 流通BMSの導入で大きく改善したものの一つが通信時間の短縮。発注は近商ストアからVAN経由で伝送していたため、例えば同社が12時までに処理したデータが取引先では14時に受信完了という具合であったが、新システムでは12時5分には到着するなど、劇的に高速化した。これにより、取引先では庫内作業の効率化が図れ、配車計画に余裕ができたと大変感謝されているという。

 

年間64万枚もの伝票が最終的にはゼロに

 自社にとっての最大の効果は伝票コストの削減だ。「EDI導入以前は、直近の1年間で、手書伝票が25万枚、EOS伝票が39万枚と年間64万枚もの伝票が存在していたが、現在は、100%に近いオンライン化率が達成されたことで、この膨大な量の伝票が1/4になっています。これによって、伝票に関わるさまざまなハンドリング、管理・保管といった作業がほとんどなくなりました。1年後を目処に最終的に伝票レスが実現の予定です」(安井氏)。

 

EDIとPOSとの連動で自動発注が実現

 さらに、100%EDI化へと進んだことで、新EDIシステムとPOSシステムとの連動による自動発注の仕組みの導入が実現した。単品の仕入管理ができないと自動発注システムは余分な作業に追われ、本来の導入効果を得ることができないが、新EDIシステムで単品在庫管理が可能となったことで、POSデータに基づいて1個売れたら1個補充するという「セルワン・バイワン」方式を導入した。


安井氏は、「従来は、パートさんが朝出勤して発注締時間までに1人で何百ものアイテムを見ながら発注していましたが、短時間に多くの商品を確認しながら正確に発注するのはベテランでも大変な作業です。こうした作業も自動化され、自動発注の人件費削減で800万円、紙伝票の廃止などで約2,000万円、在庫削減で8,000万円と、合計1億円強もの大きな効果が生まれています」と強調する。

 

 

今後の課題と展望

 仕入から販売までがほぼリアルタイムで把握できるようになったことは、素早い経営判断にも貢献しているという。POS連動から自動発注へと発展させてきた新EDIシステムだが、今後は、電子商談などにも広げて行く計画だ。「新EDIシステムをベースにより高度な業務支援、経営支援ができるシステムへと発展させていく。流通BMSはそのための社会的なインフラと言えると思います」と安井氏は期待を込める。

 

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