【旭食品】流通BMSの早期導入で、取引先から要望に素早く対応

株式会社 旭食品
情報管理部長
竹内恒夫氏

 食料品、塩干魚類の卸問屋として1923年(大正12年)に高知市で創業した旭食品株式会社。現在は、四国を中心に、中国、近畿、九州、中京、関東と営業エリアを拡大している。2008年3月期の売上高はグループ全体で3673億円と、西日本最大級の総合食品卸として知られている。

 

事例のポイント

・EDI専用サーバシステムの構築を機に流通BMSに対応
・プッシュ型通信により受注データ取得時間の前倒しが実現し、リードタイムを短縮
・流通BMSの項目を100%使った標準ラベルの実現に期待

 


BMS概要

EDI専用システムの構築を機に、流通BMSとWebEDIの自動化を実現

 旭食品は、コンピュータシステムの2000年問題を機に、営業地域ごとに管理していた情報システムを1999年末に統合した。その結果、全国の得意先における個別仕様を1台のホストコンピュータで処理することになり、資産の整理を迫られる。そこで、EDI部分をホストコンピュータから切り離し、EDI専用のサーバシステムを構築した。


「当社の得意先企業は約6000社あり、うち400~500社とEOSやEDIでデータをやり取りしている。企業数にすれば10%にも満たないが、データ量は全体の80~90%に相当する。そのほとんどがJCA手順で、100%個別仕様だ」と、旭食品 管理本部情報管理部の竹内恒夫部長は話す。

 

そこで、EDI専用のサーバ構築に際して、以下に示す3つの方針を立てた。

(1)既存JCA手順の変換処理の外出し
(2)流通BMSへの対応
(3)WebEDIの自動化

 

 流通BMSに対応する狙いを、竹内氏は「次世代の通信手順である流通BMSに早期着手することにより、取引先からの要望に素早く対応できる自社システムを整備しておきたかった」と明かす。

 

 上記の3方針をベースに大手SIer3社によるコンペを実施した結果、富士通のシステムを採用。2007年1月から開発に着手し、11月から稼働をスタートさせた。SIerの選定については「基幹システムとの連携実績が1つ。また、得意先フォーマットから自社フォーマットへの変換など、フォーマット変換の構築処理が、EAIツール(Interstage Collaboration Ring)のFEDIT機能によってGUI操作で自由に構築することができた」(竹内氏)ことが決め手となったという。

 


スーパー3社との間で流通BMSを導入し、「受注」「出荷」メッセージを交換

 旭食品は、2009年1月末現在、3社のスーパーマーケット(山陰地区15店舗、近畿地区12店舗、東京地区12店舗)との間で流通BMSを導入している。近日中には4社目として中国地区のスーパーマーケット(37店舗)で稼働が始まる予定だ。
メッセージフォーマットは、「受注」「出荷」の2種類。近日中には、近畿地方のスーパーマーケットとの取り組みにより「出荷梱包(紐付けあり)」「受領」「返品」「支払」の4メッセージを追加する。

 

 WebEDIでは、相手の画面を呼び出し、IDとパスワードを入力するといった手作業を自動化するツールを導入。集配信のマスタを用意して得意先ごとにデータ取得時間をコントロールする処理を、従来の人海戦術からシステムによる自動処理に切り替えた。現在は10数社とのやり取りをWebEDIの自動化ツールで実行中だ。


導入効果

受注データ取得時刻の前倒しでリードタイムを短縮
 流通BMSにより、受注時刻の前倒しが実現した。「サーバ・サーバ間のプッシュ型通信(通信プロトコル:ebXML MS)を採用しているため、取引先で発注データが用意できた段階で当社にデータが送られてくる。そのため、JCA手順による受信時刻よりも早く発注データを受け取ることができ、納品リードタイムの短縮につながった」(竹内氏)と、導入の効果を実感している様子。

 

流通BMSへの早期対応
 また、流通BMSの早期導入によって、取引先の反応にも徐々に変化が現れている。
「当社は流通BMSの準備が済んでいるので、新規取引先の追加や、既存のお得意先の切り替え時に、流通BMSを採用していただければ素早く対応ができる。最近は、「流通BMSとWebEDIのどちらにしますか?」と尋ねてくる取引先も増えており、その場合は迷わず流通BMSを選ぶ。また、地域のVAN会社からも「流通BMSで出しましょうか?」という提案をいただく機会も多い。小売業から見れば発注形態は変わらないが、地域VAN会社を経由して流通BMSで発注したいという取引先があれば、積極的に対応していきたい」と、竹内氏は話す。

 

 

今後の課題と展望

流通BMS項目を使用した標準ラベルの実現に向けて
 現在の流通BMSでは、物流関連帳票の標準化までは定められていない。そのため、センター納品に必要な物流ラベルと補助帳票は、得意先やセンターの個別仕様で運用しているのが実情だ。


 「当社の庫内業務は自社内の汎用ラベルで動かし、バーコードにはITFを利用している。EDI化していないお客様や、センターを持たないお客様に対しては、社内の汎用ラベルで出荷し、専用センターをお持ちのお客様には専用のラベルに張り替えて出荷しているのが現状。将来的には標準ラベルに移行して効率化を図りたい。流通BMS項目を使用した標準ラベルが広く展開されるようになれば、個別対応とコストの両方の低減を図ることが可能になるだろう」と、竹内氏は期待を寄せている。

 

 また、竹内氏は卸研(情報志向型卸売業研究会)の活動にも関わり、流通BMSと物流ラベルの連携に関する検討も行っている。「卸のスタンスとしては、流通BMSの項目を100%使ったラベル印字が実現して欲しい。現在は受信したデータだけでラベルの印字ができず、印字項目を変換したり、足したりしながら対応している状況だ。卸としては、流通BMSのフォーマットからダイレクトに印字でき、紙のサイズを極力小さくすることを希望している」(竹内氏)。


大手小売業や地域1番店の動きに期待
 旭食品としては、取引のウエイトが大きい大手小売業や地域1番店の動きに期待を寄せている。竹内氏は「総合食品卸商社として、できる限りお客様の希望に応えることが当社の役目。そのため、実証のお話があれば積極的に参加したい」と、今後の展望を語った。

 

 

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