【インテック】 第3弾 : 中小企業にも取り組める流通BMSソリューション

株式会社HBA
執行役員
情報システム本部長
神川正夫 氏(株式会社ヘリオス 取締役)

 

 大手小売業を中心に普及が進む流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)だが、さらなる普及拡大のためにカギを握るのが中小企業の存在。ITの知識や技術といった情報リテラシーをはじめ、かけられるコストに大きな差がある中小企業に対してどのように浸透させていくかという課題が残る。 そこで今回は、北海道を拠点に流通VAN、EDI(電子データ交換)などの事業を幅広く提供するHBAの執行役員・神川正夫氏に、インテックと協力して展開している中小企業に向けた流通BMS対応サービスの取り組みについて聞いた。

 

 

全国を対象に流通VANサービスを幅広く展開


 HBAは1964年に創業。基幹業務システムの構築からシステム全体の運用・保守にいたるアウトソーシングまでの総合的なサービスを提供し、北海道のIT産業を牽引してきた。流通分野においては、VANサービスをコアに、北海道をはじめ、全国の小売業・卸売業、LPガス販売業など、幅広い業態の特徴に対応したソリューションを提供している。

 また、道内卸売業者の協同化事業として発足した株式会社ヘリオスを通じて、国内最大規模の地域流通VANサービスを展開している。

 

 

プロトコルを意識する必要なく、容易な操作性で中小企業がすぐに利用できるサービスを実現

 

 HBAが提供する「Hi-PARKS」は、主に中小の卸売業やメーカーに向けて、低コストで利用できるようにしたWeb-EDIサービス。 2001年よりサービスを開始し、流通業・製造業・物流業など幅広い業種・業態で全国600社以上の導入実績を持ち、既に流通BMSにも対応している。

 

 その特徴は、初期導入費用は5万円からと低コストで、容易に導入が可能という点だ。ハードウエアやシステム開発の初期投資を必要とせず、月額費用だけで利用できる点は大きい。また、アパレル業など、毎日取引を行っているわけではない業態に対しては、利用のない月には月額サービス料を不要とするなど、配慮している。

 

 「Hi-PARKSは、主に中小企業の利用を想定したサービスですから、低コストで早期にEDIが利用できるSaaSソリューシュンとして提供しています。インターネットに接続できるパソコンがあれば利用でき、何より容易に導入可能で、ブラウザ上の操作だけで伝票発行や事前出荷データの送信、請求業務などを行うことができます」と神川氏は説明する。

 

 Hi-PARKSは、流通BMSをはじめ、ツルハ、コープさっぽろといった道内の大手小売業に加え、コープ九州事業連合などのシステムにも対応。発注者ごとに異なるEOSやEDIのデータ形式をHi-PARKSがプロトコル変換するため、受注者側であるHi-PARKSの利用者は、プロトコルの違いを一切意識することなく、データ受信が可能となる。

 

 また、Hi-PARKSは操作性も高く評価されているという。流通BMSに限らず、EDI化の促進においては、中小企業側がクリアしなければならない技術的なハードルも高い。いくら多機能なサービスを盛り込んでも、使い勝手が悪ければ、決して利用の拡大は望めない。

 

 神川氏は「Hi-PARKSを提供してきた長年の経験から、インターフェースは利用者の要望を反映させて改良を重ねました。簡単な設定と一時間程度の説明を受けるだけで、すぐに使い始めることができるようにしています」と語る。

 

 例えば、本日の作業状況画面を見れば、未処理分受注データ等の件数が分かるため、現時点での作業状況を把握し、処理しなければならない作業を一目で確認できるようにしている。こうした工夫により、サポートに手間をかけずに済むため、ユーザーへの低コストのサービス提供に繋がっている。

 

 

普及率を高めるには、導入メリットの提示も不可欠

 

 現状、Hi-PARKSのユーザー約600社のうち、1割強の67社が流通BMS対応を行っている。(2010年5月現在)「正直なところ、現状では流通BMSサービスだけを見れば、まだこれからの状態ですが、Hi-PARKSの認証機能などで協力をいただいたインテックとの協業によってユーザーの開拓を進め、今後1年程度で流通BMSでは倍の150社程度には利用を拡大していけると考えています」と神川氏は期待を寄せる。

 同社のサービスを利用している企業のうち、流通BMS対応を行っている企業では、既にそのメリットを評価する様々な声も上がっている。その中で代表的なものとしては、コストと通信時間の短縮という。JCA手順で使用していた専用モデムでは、受信時間は数時間かかることが珍しくなかった。受信時間が短くなることで、リアルタイムに近い処理が可能となった。

 

 また、伝票を手書きで記入する手間などがなくなり、事務作業にかかる負担が軽減され、伝票レス対応で事務用品・消耗品などの運用コストも削減された点も大きなメリットだ。ただし、中小企業では、特に手書き伝票がどうしても完全には廃止できない。これを、伝票レスを原則とする流通BMSという仕組みの中に、どうやって取り入れていくかという問題がある。こうしたシステム的な例外をどう扱うかという点は流通BMS採用時の検討課題と指摘する。

 

 「流通BMSに限らずITに対する中小の情報リテラシーの差は非常に大きく、そのギャップをいかに解消していくかは流通BMS普及の大きな課題です。取引先である大手小売業が積極的に対応を進めることで、取引量としては8割程度までは順調に流通BMS化が促進されると思います」と神川氏。

 

 流通BMS普及のためには、やはり影響力の大きい大手小売業が足並みを揃えて積極的に動き、啓発活動などに取り組んで欲しいという。

 

 「流通BMSの普及に積極的な小売業では、取引先を集めた説明会を頻繁に開催して、取引先である中小企業の理解を深める取り組みを行っています。普及率が高まることでユーザーの利便性がより高まるだけに、投資対効果など、導入メリットの見える化といった具体的な提示も必要でしょう。それだけに、われわれサービスを提供する立場としても、流通BMSを採用する小売業と協力して、中小企業も取り組める流通BMSの普及に貢献したいですね。」

 

 

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