【インテック】第5弾 : Power Systems(AS/400)に特化したメーカー・卸事業者向けクラウド型EDIサービス

ネオアクシス株式会社
営業本部
プロダクトサービス部
部長
白石 昌弘 氏

 

 2012年に入って急ピッチで導入が進んでいる流通BMS。大手流通グループのイオンが12年12月末までに全取引先の完全移行を宣言し、そのリミットが刻々と近づいている。
 そこで今回は、基幹システムにIBMのPower System(AS/400)を採用するメーカー・卸売事業者に向けて、クラウド型(SaaS型)EDIサービスを提供するネオアクシスのサービスの概要を紹介する。

 

 

IBM Power Systems(AS/400)のシステム開発で多数の実績

 

 ITホールディングスグループの一員として、「基幹ソリューション」「グループウェア」「プラットフォーム」「アウトソーシング」を4つの柱とした『NAX Solutions』を軸にビジネスを展開する『ソリューションカンパニー』ネオアクシス。特に基幹ソリューションのビジネスでは、IBM Power Systems(AS/400)のユーザーを中心とする1,100社以上の企業に向けて、基幹系システム開発、導入支援などのサービスを提供してきた。

 

 

TCP/IPの通信手順のまま流通BMSの利用が可能

 

 ネオアクシスは、2006年からPower Systems(AS/400)向けのツール製品「Toolbox for System i5(以下、Toolbox)」と「Toolbox +PLUS」を販売し、基幹システムの安定運用を支援してきた。従来のToolboxが持つ通信機能によって企業のEDI化を支援し続ける中、11年に入ると流通業界全体で流通BMSの導入機運が上昇。これを受けて流通BMSに対応する「NAXクラウド Toolbox EDIサービス」を12年1月にリリースした。

 

 NAXクラウド Toolbox EDIサービスは、ネオアクシスのNAXクラウドセンター経由で、流通BMSによるデータ交換を行うためのサービスだ。同社営業本部プロダクトサービス部部長の白石昌弘氏は「これまでのToolboxと同様の通信手順で利用でき、すでに全銀TCP/IP手順による通信機器や回線があれば新たに機器を追加する必要はありません。また、1接続先ごとの契約となるため、流通BMSによる通信が必要な取引先ごとに順次、始めることが可能です」と説明する。

 Power Systemsを基幹システムに利用しているメーカーや卸売事業者が流通BMSに対応しようとすると一般的に、WebEDI、JX手順によるクライアントPC、EDIサーバー、外部サービスの4つが選択肢となる。それぞれに一長一短があり、どれを導入するかで初期コストや導入後の運用負担が変わってくる。

 

 まず、取引先が提供するWebEDIを利用する場合、初期コストはかからないものの、運用のために新たな手作業が発生し、業務側にかかる負担は大きくなる。次に、流通BMS接続用のクライアントPC(JXクライアント)を導入する場合、PCとPower Systems間の連携システムを構築する必要がある。さらに運用するPCが固定されてしまうために柔軟性に欠けてしまう。また、外部にEDI専用のサーバーを構築する場合でも、サーバーの構築費用やサーバー連携システムの構築工数が発生し、構築後の運用工数も決して少なくない。

 

 一方、NAXクラウド Toolbox EDIサービスのような外部サービスなら、接続先に応じたフォーマット変換プログラムを開発するだけでよく、既存の接続先(JCA手順や全銀手順)を変える必要はない。そのため、導入コストや運用の負荷も大幅に抑えることができる。

 


Toolboxのプログラムやジョブスケジュールで運用

 

 NAXクラウドToolbox EDIサービスは、Power Systemsに特化したサービスであるために、Power Systemsのユーザーは既存の資産をそのまま引き継げることも大きなメリットだ。白石氏は「すでにPower Systemsでデータ送信前の前処理や、データ送信後の後処理を自動化されていたり、ジョブスケジュールによって起動を自動化されていたりするお客様の場合、特別なプログラムの改変等を行うことなく、既存の機能を継続してご利用いただけます」と語った。

 

 初期費用(サービス加入料)は20万円で、サービス利用料は1接続先あたり月額3万円(税別)からと非常にリーズナブルだ(いずれも12年1月現在)。定額の料金体系であるため、通信データ量が増えても利用料金は一定で、サービスが不要となったら解約することもできる。導入期間は、クライアント型のシステム導入が標準で4カ月程度かかるのに対して、最短2カ月の導入も可能という。

 

 「当社にはPower Systems向けのソリューション開発で培った技術とノウハウがあり、Power Systemsに特化したデータベースや接続ツールを保有しています。そのため、Power Systems環境での流通BMSへの対応に関しては、どのサービス事業者よりもスムーズに移行することができます」(白石氏)

 

 NAXクラウドToolbox EDIサービスの基盤は、ITホールディングスグループのインテックが従来から提供しているEDIシステム「EINS/EDI-Hub Nex」を利用。信頼性の高いファシリティーと、万全の災害対策・セキュリティー対策のもと、24時間365日体制で運用されている。

 

 

月額定額の料金体系でサービス利用コストを大幅に削減

 

 リリースから半年が経った12年8月現在、ある中堅卸売事業者がNAXクラウド Toolbox EDIサービスを導入し、イオングループの小売業数社と流通BMSによるメッセージ交換を行っている。

 


 「ご導入いただいた卸売事業者はそれまで、1日2万件以上のデータを従量制のASPサービス(JCA手順)を利用して交換していました。データ量は日によって異なるため、サービスコストも変動し、上限も際限がありません。しかし、定額制のNAXクラウド Toolbox EDIサービスに切り替えたことで、サービス利用コストの大幅な削減が実現しました。現在もさらなるコスト削減を目指し、イオングループの残りの小売業との接続を、NAXクラウド Toolbox EDIサービスに順次切り替えています」(白石氏)。

 ネオアクシスでは、今後も販売パートナーを通してNAXクラウド Toolbox EDIサービスのメリットや機能を訴求しながら、Power SystemsでEDI取引を行っているメーカー・卸売事業者に流通BMSの導入を呼びかけていく方針だ。そして流通BMS普及のためには、啓蒙活動を今以上に活発化して欲しいと要望している。

 最後に白石氏は、「メーカーや卸売事業者は、流通BMSの必要性までは認識しているものの、具体的な導入手順に関しては不明なことが多く、不安を抱いています。イオングループの完全移行をきっかけに、対応を取る企業が増えていますが、何をどう導入していいかわからないまま、JXクライアントやEDIサーバを導入し、その後の運用に頭を悩ませているケースも少なくありません。Power Systemsをお使いのお客様であれば、現在の環境をほぼ変えることなく流通BMSに移行できますので、選択肢のひとつとしてNAXクラウド Toolbox EDIサービスをご検討ください」と語った。

 

 

「Toolbox for System i5」について

IBMサーバPower Systems IBM iで稼働するツール製品。旧来よりIBM iでの標準ツールとして3,000社を超えるお客様に提供している。EDI機能としてJCA手順、全銀ベーシック手順、全銀TCP/IP手順を搭載しており、また、アプリケーション開発者用からエンドユーザー用まで利便性を高める多数のツールを提供している。

 

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