【インテック】 第1弾 : 流通BMSに取り組むことが効果に繫がる

株式会社インテック
ネットワーク&アウトソーシング事業本部 B2B-ix事業推進部
副参事  栗田和則 氏

 

 流通BMSが2007年4月に策定され、大手小売業各社を中心に導入への取組みが本格化している。さらに今年は、スーパーとグロサリーや生鮮業界、百貨店とアパレルや婦人靴、チェーンドラッグストア業界の取引に必要なメッセージの検討が進んでおり、近々、確定する予定でさらなる拡大が期待されている。しかし、初期投資コストや自社システムとの連携の複雑さなどから、導入に二の足を踏む企業があるのも事実。そこで今回は、20年以上にわたるEDIシステムの豊富な実績を持つインテック B2B-ix事業推進部の栗田和則 氏に、このような企業にとって、どのように流通BMSにアプローチするべきか、事例を交えながら導入メリットなどを解説してもらった。

 

 

流通BMSは段階的な導入でも取り組みに応じたメリットを確実に享受できる

 

 「あらためての確認になりますが、流通BMSはユーザ主導、つまり使う人自身が策定した規格です。小売業が実際に業務で使用しているEDI項目を業務プロセスから整理し、共通の使い方を定義しています。また、卸をはじめ流通に関わる業界団体の意見を取り入れているため、とても実用的です」と栗田氏は前置きし、次の点を強調する。

 

 「確かに、中堅、中小を含む小売業にとっては、流通BMSに対応するには、初期投資コストの高さや自社システムとの連携の複雑さなどを懸念されることがあると思います。それでも、流通BMSはオープンかつ標準技術を採用していますし、発注だけといった部分導入や小規模の導入からでも始められ、徐々に拡張していくことが可能です。各段階に応じたメリットを確実に享受できるのではないでしょうか。是非とも、導入を検討して欲しいと思います」

 

 例えば、発注で流通BMSを導入した場合、電話回線がインターネットに変わるだけで伝送処理スピードは現行の約10倍以上となる。しかも、標準技術のため、一度対応すれば複数の企業間での接続が可能となる。また、この標準化のメリットは、小売業よりもむしろ卸のほうが大きい。個別対応が必要であった従来と比べるとその手間とコストは大きく削減されるからだ。そして、出荷(ASN)、受領・返品、請求・支払へと適応範囲を拡張していけば、伝票レス、経理処理の大幅な削減など、業務全体においてさまざまなメリットを享受するためのITインフラを構築できる。

 

 

流通BMSの全面的な切り替えに成功し、毎月100件の問い合わせが0件に

 

 では、インテックのサポートにより、実際に流通BMS導入を積極的に推進し、全面的な切り替えに成功したA社の事例を見ていこう。地方で数十店舗のスーパーを展開するA社でも、EOS化率の改善が必要と認識されていた。しかし、もっともEOS化率が高いグロサリー部門でも残り数%が対応できていない状況となっていた。対応できないところが残ってしまえば、その部分で手作業や目で見ての確認が残ってしまい、間違いが発生すれば原因を追うのも手作業となる。また、発注処理や電送処理に時間がかかり、商品代金の支払いについて問合わせが頻発するなどの問題を抱えていた。これは、EOS伝票への納品データ入力忘れや数量訂正ミス、手書き伝票・OCR伝票における単価違い、計算違い、伝票区分違いなどが原因であった。

 

 これらの問題を解消するため、A社は取引先の9割以上に当たる100社を超える取引先と流通BMSで接続、非EOSメッセージを利用して、紙伝票を原則廃止とした。これにより、以前は月平均100件あった商品代金の支払いに関する問合わせを0件へと劇的に改善した。さらに、代金未収の調査といった余計な作業が一切なくなると共に、伝票枚数は7割減を達成、支払明細印刷と発送に必要な作業時間も1/4に短縮している。

 

 

ビジネスプロセスの改善を目指して対応することで、より大きな効果も

 

 A社では流通BMS導入にあたって取引先をとりまとめるASPを採用した。これにより100社以上もの取引先との接続がスムーズに進み、約半年という短期間でまとまった規模の運用開始を実現している。多くの取引先を取り込み、EOS化率を向上させることが効果に繋がるという実例でもある。

 

 「これは好事例だと思います。お取引先企業とも協議し、多くのコミュニケーションを持っていると聞いています。ビジネスプロセスの改善まで含めて考えていることが、成果に繋がっている大きな理由でしょう。A社の場合は間違いなく小規模ではありませんが、中堅・中小規模の小売・卸売業にとっては、専任のシステム要員などの問題から、自社で流通BMSに対応するシステムを構築するのは現実的ではないと考えるかもしれません。この点、ASPを利用すれば、自社の仕組みへの影響も比較的軽く、低コストかつスピーディに移行が可能ですし、導入後の運用面でもメリットが大きいと思います」と栗田氏。

 

 

20年以上にわたるEDIの実績と豊富なノウハウ

 

 インテックでは、1985年の通信自由化以来、20年以上にわたってVANの運用、EDIシステムの構築に関わってきた実績とノウハウを基に、さまざまなニーズに対応した最適なソリューションを提供してきた。具体的には、ASP型EDIサービスの「EDI-Hub」をはじめ、自社構築型のスタンダードEDIパッケージ「EDIServ」およびインターネットEDIパッケージ「B-ixServ」がラインアップする。

 

 「企業間の情報交換を支えるEDIシステムは、高い信頼性が要求される重要なビジネスインフラです。その点、当社はB2B-ix事業において流通BMSにいち早く取り組み、2006度より、流通BMSの共同実証に参加する企業に協力してきました。すでに100社を超える導入実績があり、多くのノウハウを蓄積しています。この実績をもとに、お客様に最適な流通BMS環境を実現します。ASP型のご提供から、サーバシステムの導入、お取引先様への受注端末ソフトウェアのご提供まで、幅広いラインナップでお客様のご要望にお応えできるのが、インテックの強みです。」と栗田氏は語る。

 

 

 

 

関連記事