2011 年度 製・配・販連携協議会 総会/フォーラム

 製・配・販連携協議会による総会とフォーラムが、5月25日、イイノホール&カンファレンスセンターで開催された。総会では、返品削減、配送最適化、デジタル・インフラ検討の3つのワーキンググループによる活動成果の報告のほか、経済産業省による講演や、製・配・販の経営トップによるパネルディスカッションが行なわれた。

 

主催者挨拶、2011年度の製・配・販連携協議会の活動概要報告

 

 経済産業副大臣 柳澤光美氏による開会・来賓挨拶に続き、流通経済研究所の上原征彦 理事長が、主催者挨拶を行なった。上原理事長は「IT(情報技術)の発達により、製・配・販の連携の意味が深まった。製・配・販が情報を共有し、結束していくことは短期ではなく長期的なメリットが大きい」と語り、製・配・販によるサプライチェーン全体の連携が必要だと強調した。さらに「消費者情報や在庫情報を戦略や競争に活用するためにデジタル・インフラの重要性は高まっている。デジタル・インフラによってムダ・ムラの解消や、情報集約、震災時の緊急対応が可能になる」と述べ、サプライチェーン・マネジメントにおけるデジタル・インフラの重要性を強調した。

 

 同じく流通経済研究所の加藤弘貴 専務理事は、「2011年度の製・配・販連携協議会の活動概要報告」として、11年度の活動について説明を行なった。加藤氏は11年7月5日に開かれた第1回 運営委員会で「返品削減」「配送最適化」「デジタル・インフラ検討」の3つのワーキンググループのテーマを設定したことを語り、「当初は議論が噛み合わないところもあったが、各ワーキングメンバーの協力、リーダーの努力によって良い成果ができたのではないかと考えている」と述べた。製・配・販連携協議会が取り組んでいる流通BMS拡大・導入計画については、第2次公表として、新たに小売業16社が流通BMS導入宣言に賛同したことを明らかにし、「協議会では流通BMS拡大の活動について今後もフォローしていき、進捗状況をまた報告させていただきたいと考えている」と語った。

 

 

返品削減ワーキンググループ活動成果報告

「加工食品・日用雑貨における返品削減の具体的方策について」
イトーヨーカ堂 執行役員 物流部長 飯原正浩氏

 返品削減ワーキンググループのリーダー社であるイトーヨーカ堂の執行役員 物流部長 飯原正浩氏が、活動成果の報告を行なった。

 昨年度のワーキンググループ活動では、返品削減のアクションとして「公正取引の徹底」「納品期限設定方法の再検討」「定番商品の入れ替えプロセスの見直し」の3つの提言行われた。これを踏まえて、今年度のワーキンググループの目的は「加工食品の納品期限の見直し」「商品入れ替えプロセスの見直し」「返品に係わる取引条件・取引計画の明確化」としたと飯原氏は語った。

 

 飯原氏は調査結果を基に、加工食品の返品の大きな理由となっている「納品期限切れ」の実態について言及。「結果として納品期限切れになったのではなくて、仕入れ数量など、様々な問題がある。納品期限切れに至るプロセスを見直すことが必要である」と述べた。

 

 また、飯原氏はイトーヨーカ堂とキリンビール、アサヒビールによる納品期限緩和パイロット・プロジェクトについて説明し、このプロジェクトの成果を通して「食品廃棄を削減することの重要性を再認識する」「過度な鮮度基準を改める」「納品期限を現行の2/3残し基準から緩和する方向で見直す」といった提言を行なった。

 

 その上で飯原氏は、「納品期限の見直しについては小売業だけでなく、製・配・販の各層が役割・責任を果たすことが前提となっている。各社の返品削減の取り組みに加えて、製・配・販連携協議会を通じて、業界として継続協議することも重要だ」と指摘した。

 

 

配送最適化ワーキンググループ活動成果報告

「納品トラック待機時間の実態と改善方策について」
日本アクセス 常務執行役員 ロジスティックス本部長 中井忍氏

 配送最適化ワーキンググループでは、リーダー社の日本アクセス 常務執行役員 ロジスティックス本部長 中井忍氏が活動成果報告を行なった。

 今期の配送最適化ワーキンググループでは、「納品トラックの待機時間」に焦点を当て、改善策の検討・提言や、配送効率化に向けた各社の取り組み事例をベタープラクティスとして共有したという。また、納品トラックの待機時間の実態を調査するため、小売業・卸売業の12,861台、メーカー466台の納品トラックの調査を実施。待機時間の発生状況や日別・曜日別の待機時間、センター別の待機時間を定量的に把握し、発生理由の分析や、二酸化炭素(CO2)排出量の試算を行なった。

 

 また、日本アクセスでは自社の物流センター2箇所において、納品トラック待機時間改善に向けたパイロット・プロジェクトを実施した。プロジェクトでは、3メーカーを午後入荷に変更し、午後納品の物流構成比を13%まで上昇させた結果、「待機時間が21%減少、納品時間合計も短縮した」という。さらに、入荷検品者を4人から6人に増員したことによって「増員前と比較して待機時間が44%減少する結果になった」と中井氏は明らかにした。

 

 こうしたワーキンググループとパイロット・プロジェクトの取り組みから、中井氏は納品トラックの待機時間改善に向けた基本的な考え方として「製・配・販が個別に対策を講じていてもどうしようもない。待機時間の改善は、取引先の両当事者が課題を特定することが、取り組みの第一歩だ」と述べた。

 

 

デジタル・インフラ検討ワーキンググループ活動成果報告

「製・配・販の効果的情報連携とデジタル・インフラの方向性について」
ライオン LOCOS推進部長 平岡真一郎氏

 続いて、ライオンLOCOS推進部長 平岡真一郎氏が、デジタル・インフラ検討ワーキンググループ活動成果報告を行なった。

 今期から始まったデジタル・インフラ検討ワーキンググループの目的として、平岡氏は「製・配・販の情報基盤のあり方を考え、どのような情報を共有すべきか、どのような効果が期待でき、事業設計が考えられるかを検討すること」と述べた。

 

 デジタル・インフラ検討ワーキンググループは、POSデータの共有に注目。ワーキンググループ参加企業からPOSデータを集め、効果検証シミュレーションを実施した。こうした効果検証の結果を受けて平岡氏は、「特に新商品や季節品など、需要変動が大きい商品の場合には、一定規模以上の小売業のPOSデータを利用することで、生産・在庫・出荷管理を大きく改善できる可能性が大きい。メーカーが小売業のPOSデータ・仕入れデータを共有することは、サプライチェーンの最適化に有効と考えられる」と結論づけた。

 

 シミュレーションによる効果検証を踏まえ、平岡氏は「業界全体で標準に基づく情報共有基盤を整備することに、デジタル・インフラ整備の意義がある。サプライチェーンの可視化を高め、効率化を図るには、POSデータや入出荷・在庫データなどの実績系データの情報共有が重要だ」と述べた。 こうしたデジタル・インフラでは、「システム運営の効率化のために、流通BMSにおいて定めている標準フォーマットを中心にすることを基本とする」とし、フォーマットと標準化がシステム運営の効率化につながると指摘した。

 


災害時・平常時の消費財流通におけるサプライチェーンの確保について

経済産業省 商務流通グループ 商務流通審議官 豊永 厚志 氏

 冒頭、豊永氏は東日本大震災における流通業への被害状況について、データを元に説明。さらに南海トラフ巨大地震や首都直下地震の被災想定データを示し、「東日本大震災によって明らかになった課題や教訓を踏まえながら、可能な限りの備えを行なっていくことが必要だ」と述べた。

 その上で豊永氏は、東日本大震災における被災者の物資ニーズの変化を説明し、緊急時に生活必需品に関する在庫データと販売動向データが共有できるデジタル・インフラの必要性を語った。経済産業省では、こうしたデジタル・インフラの実証事業を3カ年で行なう予定だという。

 

 豊永氏はデジタル・インフラの構築を製・配・販連携協議会の活動と連携しながら進めたいとし、「製・配・販連携協議会の推進する流通BMSは、デジタル・インフラと相まって大きな力を発揮すると思っている」と述べ、さらに「返品削減や配送最適化にも使えるデジタル・インフラを、緊急時も使える形で皆さまと一緒に構築したいと思っている」と語り講演を終えた。

 

 

経営トップによるパネルディスカッション

「流通の未来と製配販連携について」

 ワーキンググループの活動成果報告と、経済産業省の豊永氏による講演に続き、流通経済研究所の上原征彦 理事長をモデレーターに、経営トップ6人による「流通の未来と製配販連携について」と題したパネルディスカッションが行なわれた。

 ライオン社長の濱逸夫氏は、ディスカッションで、「国内の流通の将来は、需要をいかに創造するかに尽きるのではないか。多様化する生活者に対して、単なる安売りや基本的なベネフィットだけでなく、感動や共感を届けるような価値をいかに提供できるかが重要だ。ライオンでは『Life Innovation』と呼んでいるが、生活者のライフステージやライフスタイルに応じた価値創造につながるもの作りをやっていきたい」と述べた。

 

 キリンビール社長の磯崎功典氏は、「当社は東日本大震災で工場や配送センター、営業拠点などが被災した。一時、商品供給にも大きな影響が出た。こうした経験から、効率性や利便性だけではなく、リスクに強い事業にしていく必要性があることも強く感じている。リスクに強く、新しい価値を創造できる仕組みを構築することで、自らの競争力を高めることができるのではないか」と指摘した。

 

 Paltac社長の折目光司氏は、「サプライチェーン全体の効率化と、環境に配慮した事業活動とが、流通業の二つの大きな課題になっている。日本の流通の特徴は、価格面、品質、品揃え、商品サイクルに対する消費者の厳しい要求だ。そうした中でも、さらに商品のロスを削減し、物流の効率化を進める必要がある。当社の基本方針として、今後も中間流通事業者としてサプライチェーン最適化に貢献していきたい」と述べた。

 

 国分会長兼社長の國分勘兵衛氏は、「コモディティと言われるものは、需給バランスが崩れるので競争が激しくなっている。一方で、日本の消費は地域性、季節性、鮮度など多様性に富んでいる。我々問屋の使命としては、製・販を繋いでいく役目がある。物流や情報流通をワンストップで繋げるビジネスモデルが日本の流通では大切だ。サプライチェーン全体の最適に繋げる役割をこれからも果たしていきたい」と語った。

 

 イトーヨーカ堂の社長 亀井淳氏は、「日本の流通は、欧米に比べて寡占化が進んでいない。それは日本の良さでもあるが、一方で今後は水平統合が進んでいくだろう。製・配・販の取り組みは、こうした水平統合の効果を加速度的に上げる。これからの小売業は、規模の大きい、小さいではなく、自由競争をしながらお互いをサポートし合う関係になるべきだろう」と展望した。

 

 アークス社長の横山清氏は、「高齢化社会を迎え、流通と生活をどう結びつけていくかというのは大きなテーマだ。当社が展開している北海道のとある地方では、高齢化が進み、人口も減少している中、ホームセンターやドラッグストア、コンビニが出店している。これはある意味で日本の現状を濃縮している。こうした中で流通をどう合理化するかということは、経済学の教科書にはない問題だと思う」と課題を指摘した

 

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