今年で32年目を迎え、日本でのBBQ文化の発展に大きく貢献した「手ぶらでBBQ」。初心者でも簡単に扱える本格機材でBBQを手軽に体験できて、プルドポークなどのメニューが人気となっている。本場米国仕込みのBBQやアメリカンポークの楽しみ方について、運営会社ヒーローの石橋拓土氏に、商品ジャーナリストの北村森氏が話を聞いた。
石橋拓土氏
ヒーロー
イベントディレクター エリアマネージャー
北村 森氏
商品ジャーナリスト サイバー大学IT総合学部教授
(元『日経トレンディ』編集長)
BBQの醍醐味アメリカンポークを手ぶらで気軽に楽しむ
北村
「手ぶらでBBQ」というスタイルを、日本に導入したのはいつごろでしょうか?
石橋
都市公園で火器を使用して楽しむ「手ぶらでBBQ」を当社が提案し、日本で初めて国営昭和記念公園で実現したのが1990年。今年で32年になります。当時、競合他社はおらず、完全にブルーオーシャンでした。
北村
BBQ運営のパイオニアとして、アウトドア未経験者や潜在層の裾野を広げることに大きく貢献されました。その後は水辺や山、街へと広げ、今や都内近郊を主軸に直営施設と運営サポート施設含め、十数店舗を展開されています。あらためて「手ぶらでBBQ」の魅力とは?
石橋
BBQの道具を持っていない方でも、手軽に楽しめることです。「WEBER(ウェーバー)」という米国の本格グリルを使用して、誰でも上手に焼けることにもこだわりました。薄い肉ではなくボリューム満点のかたまり肉を、本場米国さながらグリルして味わえることが、何よりの醍醐味ですね。
北村
やはりアメリカンポークの醍醐味はかたまり肉ですよね。「手ぶらでBBQ」は、手軽なのに本物志向ですばらしい。WEBERといえば、アメリカではシェア60%以上を占める人気グリルですね。
石橋
ふた付きなので直火と違い、対流効果で間接的に熱を食材にあて、ゆっくり全体を包み込んで調理します。火力調整もできるので、基本は食材を放り込んで、たまに焼き加減を見れば大丈夫です。誰かが付きっきりで焼かなくても、BBQに参加した皆様がのんびり楽しめます。
北村
こういう形のBBQは、理屈抜きで楽しいですね。腕に自信がなくても、これならかたまり肉でも手軽に挑戦できます。いわゆるコト消費を重んじるようになって久しいですが、本物に触れる体験は心を豊かにします。本格的な機材を使い、本場の味を手軽に楽しめる場を提供いただき、食文化がさらに豊かになったと感じます。去年は、世代を超えて楽しめるものがヒットしましたが、アメリカンポークをBBQグリルで焼くことは、世代を超えた楽しみとして日本の文化に根付きそうです。
石橋
「プルドポーク」は焼き上がるまでの時間を皆で共有し、ミートクロウという道具でプルしながら、大きなかたまり肉をシェアするメニューです。人と人とをつなぐ「集い」の役割を持つBBQ文化を日本でも気軽に楽しめる土壌が少しずつ醸成されてきたと感じます。
プルドポークをミートクロウで裂き、好みのソースで楽しめる
厚切りロースステーキ、プルドポーク 幅広いBBQメニュー
北村
10月のポークトーバーフェスの反響はいかがでしたか?
石橋
アメリカンポークの人気が、今後ますます高まっていくだろうと確信したのは、アメリカンポークの豪快な料理をキッチンカーの車両にデザインした車で、フェスの会場へ向かっているときでした。道行く人々が振り返ってキッチンカーを二度見するのです。
さらに、うれしかったのは「これまで肉は硬くて嫌いと言っていたうちの子が、プルドポークは軟らかくておいしいと食べ、おかげでお肉大好きになりました」というお客様の声です。
北村
キッチンカーは、それほど強烈なインパクトだったんですね。プルドポークの認知度も、以前と比べてずいぶん上がってきましたね。
石橋
料理をお客様に提供する際は、アメリカンポークについてのストーリーを、しっかりお伝えしています。
北村
アメリカンポークは穀物飼料で育てられ、2週間船で運ばれる間にじっくりチルド熟成されているから、うまみが増すことなどですね。スパイスやソース、時間をかけた低温調理なども関心を引きますね。
石橋
スパイスも焼き方もそれぞれ違って、どれも正解なんです。
北村
アメリカンポークは懐が深いですね。挑みやすくて優しい。失敗する方が難しいくらいです。
石橋
個人的にはビーフより断然ポークのほうがおもしろいと感じます。ステーキや豚から、プルドポーク、バックリブなど部位も調理法も多彩です。だから誰でも取り組みやすいのが、アメリカポークをBBQで使うメリットです。しかも冷めてもおいしいのが魅力です。
北村
今後、挑戦してみたいメニューなどはありますか?
石橋
断然バックリブです。アメリカンポークの醍醐味が味わえるのがポイントです。
北村
それはぜひ味わいたいですね。今後は、アメリカンスタイルの本格派BBQを楽しむ人が増えることが予想されます。そのうえで大切なことは、流通や小売り、飲食店が、アメリカンポークの価値をきちんと理解し、消費者にその価値を訴求していく場を提供していくことでしょう。アメリカンポークは、おいしい以上におもしろい食材だという、本来の価値をしっかり伝えられれば、消費者はアメリカンポークを放っておきません。
石橋
ここでアメリカンポークを使った本場のBBQ料理を食べれば、その価値を理解していただけるはずです。
アメリカンポークのメニューが目を引くキッチンカー
BBQPIT あざみ野ガーデンズ
全17サイトにBBQグリルシェア米国No.1のWEBERと、BBQ用具一式を完備。食材付きプランで、手軽に本格アメリカンBBQを手ぶらで楽しめる施設。持ち込みプランではあざみ野ガーデンズ内のスーパーで購入した食材の持ち込み可能。最大102席(団体利用可)。
http://www.herofield.com/bbq/azamino/
米国ロードサイド・ダイナー風のお店でアメリカンポークを堪能
店内に一歩足を踏み入れると、いっぱいに広がる薫製の香ばしい匂いに胃袋をつかまれる。まるで米国のロードサイドにあるダイナーを訪れたような店内インテリア。「お客様の3割が外国人。この店に故郷の味を求めて訪れる米国人のお客様が多い。これぞ本場の味と堪能し、むしろもっとおいしいと絶賛してくださるお客様もいるのはうれしい限りです」と話すのは店長の鮫嶋氏(写真右)。「かたまり肉にスパイスを擦り込んで1晩漬け込み、110度で10時間じっくり焼き上げます。アメリカンポークは、しっとりジューシーに焼き上がり、その脂の甘みが絶品です」( 写真左・アメリカンポークにぞっこんのピットマスター二本木氏)。
盛り合わせプレート 「Bar-B-Q プラッターメンフィス」(スペアリブ、プルドポーク、ソーセージ&チーズ、コーンブレッド、コールスロー、マカロニチーズ、フライドポテト、ピクルス、ハラペニョ)など、アメリカンポークのメニューが豊富に揃っている
BYRD’S Pizza & Ribs
https://www.byrdsmotherlucy.com/
米国食肉輸出連合会 USMEF
https://www.americanmeat.jp