アメリカンポークのススメ Vol.1 「豚から・かたまり肉」「バーベキュー」「ポークトーバーフェス」幅広い提案広がる

10月に「ポークトーバーフェス」が日本で開催され、「豚から・かたまり肉」「バーベキュー」などさまざまな食べ方で、アメリカンポークの新たな価値が見いだされている。米国食肉輸出連合会(USMEF)マーケティングディレクターの加藤悟司氏と、商品ジャーナリストの北村森氏がアメリカンポークの魅力について語り合った。

 






北村 森氏
商品ジャーナリスト サイバー大学IT総合学部教授
(元『日経トレンディ』編集長)

 

 







加藤 悟司氏
米国食肉輸出連合会(USMEF)
マーケティングディレクター

 

熟成され低脂肪でおいしいアメリカンポークの実力

北村 

USMEFの設立は、46年前だそうですね。

 

加藤 

1976年に米国デンバーで設立され、翌年には日本、そして韓国、北京、上海へ広げ、現在、世界に19カ所の拠点があります。本国に次いで最初に設立されたのが日本です。私たちは日本での認知度を高め、商社や卸売業者、小売店、外食レストラン、そして消費者へ、川上から川下まで広報・宣伝活動や販売促進活動、レシピ提案、安全性に関する情報提供などを行っています。

 

北村 

かつて輸入肉といえば冷凍オンリーでした。しかし、いまではアメリカンポークに対する消費者の意識がずいぶん変わってきていると感じます。

 

加藤 

かつては冷凍輸送が主流でしたが、技術が発達してチルド輸送になったのが90年代です。

 

北村 

約30年前ということは、切り替えてからかなりたつんですね。まだ冷凍輸送時代の先入観を持っている方も一定数いますよね。

 

加藤

輸入がはじまった当初は、チルドはなく緩慢冷凍と解凍で、肉から分離した液体であるドリップが流出してしまい、品質が落ちてしまったのも事実です。しかし現在では、チルド輸送方式が確立しています。アメリカンポークは船で2週間、マイナス2度から1度で厳重に温度管理され、その間、じわりじわりと熟成されて、風味とうまさが増します。

 

北村 

今ではアメリカンポークは、輸送の時間と距離を武器に、低温熟成によって肉のおいしさを格段に向上させました。いま消費者がアメリカンポークを選ぶ理由は、その味を評価しているからでしょう。ビーフを銘柄で選ぶように、消費者がポークの個性をわかったうえで、気分やシチュエーションに合わせてポークを選ぶ時代になりました。

 

加藤 

まさにその通りです。低脂肪でジューシーなアメリカンポークの本来のおいしさを、日本の皆様にきちんと知っていただきたいと考えて活動しています。

 

北村 

国内消費者が持つ、食へのするどい感覚は決してあなどれませんね。食に敏感な人は先入観などありません。アメリカンポークを一度食べて選択肢に入れば、食の可能性が広がる。ポーク選びが一層楽しくなります。

 

 

アウトドアとBBQブーム ポークの醍醐味を後押し

北村 
私の認識が間違っていたら教えてほしいのですが、ポークの醍醐味を味わえるのは、やはり骨付きでしょうか?

加藤 
そうですね。骨付きです。ちなみに米国でポークの価格が一番高い部位も骨付きのリブです。バックリブが一番高い。そこが一番おいしいと皆さんよく知っていて、BBQシーズンの夏場にもっとも高くなります。ただし、カッティングの仕方が違うので、国産のバックリブはありません。

 

北村 

国産のものはないんですね。やはり骨付きは本場アメリカンポークです。

 

加藤 

もう一つおすすめしたいのが「かたまり肉」です。コロナ禍以降、キャンプやBBQが人気となることで、道具と調理法にこだわる方も増えてきました。薄切り肉ではなく、厚切りの肉を家族や仲間と焼くのがトレンドになり、ポーク本来のおいしさと醍醐味がわかる人が増えています。

 

北村 

かたまり肉は心が躍りますね。ただ、かたまり肉の調理はハードルが高いと考える人も多そうです。

 

加藤 

かたまり肉は中心部まで火を通すのが難しい印象がありますが、電子レンジや低温調理器を活用して、適切な時間と温度に設定すれば、家庭で誰でもおいしくジューシーに作れます。芯部分の温度を測ることも大切です。かたまり肉のレシピもUSMEFで提案しています。

 

北村 

最近、ビーフステーキコンテストが人気ですが、アメリカンポークのかたまり肉で火入れコンテストを開催してみてはいかがでしょうか。全国から腕に自信がある人が参加するに違いありません。スパイス使いや焼き方にもっとこだわれば、アメリカンポークは本来の力を発揮します。まだまだ可能性を感じます。

 

加藤 確かに火入れコンテストは面白そうですね。アメリカンポークには、さらに伸びしろがあると感じています。

 


アメリカンポークを豪快に楽しめるバックリブ。

 

 

次世代の新メニューに注目鶏唐揚げの次は「豚から」

北村 

ポークトーバーフェスについて詳しく教えてください。

 

加藤 

米国中西部、ポークの肥育が盛んな地域で、大地の恵みを受けて育ったポークを、10月に家族や仲間と囲んで祝う食の祭典です。日本でもさまざまな味わい方で豪快に食べられる場を提供し、新たな価値を提案したいと思いました。

 

北村 

私は横浜のセンター北駅にある「BYRD’ S」というお店で、本場さながらのプルドポークをいただきました。スパイスを擦り込んだアメリカの味を、これまた米国発祥のクラフトビールとともに楽しみました。ビール、特にクラフトビールとの組み合わせはとてもいいですね。アメリカンポークは間違いなく客単価を上げますね。

 

加藤 

現在は10月の開催ですが、いずれポークトーバーフェスを年間行事にできればと考えています。

 

北村 

クリスマスにフライドチキンを食べる文化が日本に根付いたように、「記念日にアメリカンポーク」。そんな日は遠くないですね。

 

加藤 

アメリカンポークを使った唐揚げ「豚から」やBBQの定番「プルドポーク」、「豚ロースのステーキ」をフェスで提供したところ、量販店や消費者の方々から大変ご好評をいただきました。

 

北村 

鶏の唐揚げ消費がコロナ前に比べて、1・5倍に伸びましたが、「豚から」が次のブームになりますね。

 

加藤 

今までのメニューになかった「豚から」がプラスαの要素になって、新たな価値が生まれることを期待しています。

 

北村 

「豚から」は特にどの部位がおすすめですか?

 

加藤 

豚かつ用ロースをスティック状に切り、バッター液を付けて少量の油で揚げます。薄切り肉をサッと揚げ焼きするのも実においしいですよ。USMEFオリジナルの「豚からの素」を無料で提供し、揚げ粉の小袋とセット販売を提案したところ、量販店様から多数の引き合いがありました。

 

北村 

家で豚かつを揚げるのは大変なので、少量の油で作れる「豚から」で、その苦しみから解放されそうです。

 

加藤 

アメリカンポークを通じて、日本の肉食文化を醸成し、日本の食文化がより豊かになるよう貢献していきたいと思います。

 

 

 

 

「ポークトーバーフェス」でバーベキュー料理、豚から・かたまり肉を味わい尽くす

米国の中西部で、秋の豊かな実りを祝い、感謝を込めてアメリカンポークを楽しむ祭典が「Porktober(ポークトーバー)」。その醍醐味を日本でも再現し、さまざまな味わい方でアメリカンポークを豪快にいただくのが「ポークトーバーフェス」だ。豚からや厚切りのポークステーキ、ローストポーク、プルドポークバーガー、そして米国人の大好きなBBQリブ。アメリカンポークを、屋外会場やレストランで味わい尽くすイベントが各地で開かれ、大好評を博している。

 

 


米国食肉輸出連合会 USMEF
https://www.americanmeat.jp

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