【インターコム】トモヱ乳業  流通BMSに特化したパッケージの導入で移行に伴う導入作業を従来の10分の1に削減

トモヱ乳業株式会社
総務部
システム責任者
廣木 和人 氏

 

 輸送に適した、関東の中心に位置する茨城県古河市に本社を置き、首都圏を中心に牛乳・乳製品の製造・販売を行うトモヱ乳業株式会社。流通BMSによる取引は2007年より開始していたが、当初は手組み開発で対応していたため、導入時の膨大な負荷は避けられなかった。
 そこで、流通BMSによる取引先が増えたことをきっかけに、パッケージの導入を決断。新規取引先の追加に伴う導入作業を従来の10分の1に軽減するとともに、EDIの膨大かつ安定した取引処理によって、鮮度が要求される乳製品の素早い納期対応を可能にしている。パッケージ導入の経緯を同社総務部の廣木和人氏に聞いた。

 

流通BMSへの素早い対応と可用性の高いEDIシステムの構築が課題

 1956年(昭和31年)創業のトモヱ乳業は、北関東トップクラスの牛乳・乳製品・飲料メーカーとして、牛乳類のほか、果汁・野菜ジュース、カップ飲料、デザート類などを製造している。販路は首都圏を中心に全国に拡大している。

 

 同社が流通BMSによる取引を開始したのはリリース初期の07年からと早い。しかし、当初は通信ミドルウェアのみを購入し、その他はすべて手組み開発で対応していた。そのため、取引先の流通BMSデータの仕様調査や社内の基幹システムとの連携に伴う技術調査など、開発前の調査工程に膨大な時間がかかっていたという。廣木氏は「今後、流通BMSによる取引が増えていけば、手組みでその都度開発して対応していくのは現実的ではないと感じていました。そこで、新たな取引先と流通BMSによるデータ交換を開始するにあたり、それまでの手組み開発を見直して、市販のパッケージソフトを導入することにしました」と説明する。

 

 食品流通業の中でも、乳製品などのチルド製品は鮮度が命で、受注日当日または翌日の納品が原則となっている。そのため、システムの自動化や可用性が欠かせない。そこで同社は、流通BMSパッケージの新規導入でこれらの課題を解決することにした。

 

 

得意先アダプターを追加するだけで流通BMSの追加が可能に

 パッケージの選定・導入については、大興電子通信株式会社に協力を要請。展示会などに足を運んで調査を進める中で、インターコムの「Biware らくらく受注 Pro」に出会い、導入を決断する。採用の決め手の1つは、複数の取引先との業務を一元管理できる点だった。「Biware らくらく受注 Proは、新たな取引先の追加に対しても、オプションの得意先アダプターをアドオンするだけで簡単かつ自在に対応できます。また、すべての取引先との業務を一元管理できる仕様になっており、他製品と比べて使いやすいと感じました」と廣木氏は語る。

 

 もう1つの理由は、取引量の多い業界での利用にも配慮された仕様になっている点だ。例えば、取引先側が商品マスタデータの更新を忘れて旧商品の発注データを送信してきた場合、通常はキャンセルのための出荷訂正データを送り返す必要がある。取引量が多いと1伝票単位の対応では大きな手間となってしまうが、Biware らくらく受注 Proの場合は、伝票単位のみならず商品単位・明細単位での対応が可能となっており、取引量に左右されず柔軟に活用できることが評価された。

 

 パッケージは、13年8月に導入。可用性の確保のために、本社のFTサーバー上に導入し、トラブル時でも止まらない環境を用意した。その後も流通BMSへの移行に応じてBiware らくらく受注 Proの得意先アダプターを購入して追加を重ね、15年2月時点で接続先は7社を数える。

 

 パッケージへの切り替えで、新規取引先の追加に伴う導入作業は、従来の手組み開発の時と比べて10分の1程度にまで削減できた。

「取引先の仕様書を何度も確認して対応していた当時のことを振り返ると、その差は歴然です。当時は運用がスタートしても、仕様書に記載のない事態が発生して修正対応に追われるケースもまれにあることから、気が気ではありませんでした。流通BMSでの取引は今後も間違いなく増えていくと思いますが、得意先アダプターを追加するだけで容易に対応できるので安心です」(廣木氏)

 

 

レガシーEDIシステムのリニューアルでジョブ設定を効率化

 トモヱ乳業は、流通BMSのシステムをパッケージ化した約1年後の14年8月には、既存のレガシーEDIシステムを見直し、インターコムの「Biware EDI Station」を導入した。Biware EDI Stationは、ジョブの設定とワークフローの設定が個別の管理となっており、取引先ごとに作成したジョブ設定に対して共通のワークフローを適用できる。万が一ワークフローの設定に誤りがあってもマスターとなる1つのワークフローのみを修正すれば良いため、処理設定の更新も容易だ。「既存のEDIパッケージと比べて柔軟性が高く、利便性に優れている点が導入の決め手になりました」と廣木氏は振り返る。さらに、各機能の管理画面が統一されていてわかりやすいことや、インターコムのサポートが丁寧で良いことも選定時のポイントになったという。

 

 Biware EDI Stationも流通BMSのパッケージと同様、本社のFTサーバー上に導入。さらに通信回線についてもオプションのハードウェアを使って二重化することで可用性を確保した。システムと通信回線の双方で可用性を確保し、日々の膨大な取引に耐えうるEDI環境を実現している。

 

 レガシーEDIシステムのリニューアルで、ジョブ設定の柔軟性が高まり、変更が発生した際も最小限の作業負担で対応できるようになった。また、取引データを受信してから基幹システムに渡すまでの一連の処理がワークフローによって自動化され、取引業務の省力化にもつながっている。

 

 現在、同社のEDI取引が集中する時間帯は主に11時から14時。EDI処理についてはスケジューリング方式でデータ受信、基幹連携までをおおむね自動化し、極力人手を介さない形になっている。ただし、全取引先の数パーセント程度でFAXや電話による取引も行っており、ピーク時は各担当者が対応に追われているという。

 

 最後に廣木氏は「今後は全部で80社ほどあるレガシーEDIの接続先を、なるべく早く新システムに移行して1本化することを検討しています」と語った。

 

 

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