「固定電話網のIP網移行」と「全銀EDIシステム」への対応に向けて今やるべきこととは

株式会社データ・アプリケーション
マーケティング本部 シニアコンサルタント
中井 基雄 氏

 

 企業間電子商取引(EDI)では、18年から23年の5年間で大きなターニングポイントを迎える。その代表的なイベントが、「固定電話網のIP網」への移行と、「全銀EDIシステム」をはじめとする金融の経理・決済業務の高度化だ。この2つは、対応が間に合わないと日常的な取引に重大な影響がおよんでしまう。そこで、これらによって何が変わるのか、具体的にどのような対策を講ずればよいのかについて、データ連携ソリューション「ACMSシリーズ」を提供するデータ・アプリケーションに話を聞いた。

 

刻々と迫るタイムリミット。直前の対応では間に合わない

 

 固定電話網のIP網移行は、早くからアナウンスされていたが、17年4月にNTT東西から正式に発表され、24年1月で「INSネットディジタル通信モード」が終了することが確定した。24年1月から1年間の移行期間を経て、25年1月には完全にIP網へ移行される。

 IP網に切り替わると、通信遅延などの影響により、受発注データの送受信に利用している従来型のEDIは使えなくなり、ビジネスが完全にストップしてしまう可能性が高くなる。回避するためには現状の環境を早急に洗い出し、一刻も早くインターネットEDIに移行しなければならない。「国内で既存のEDIを使っている流通事業者を含めたすべての企業数はおそらく40万~50万社にのぼり、完全にインターネットEDIに切り替えている企業のほうが少数派です」と中井氏は語るが、直前に対応しようとしても間に合わなくなる可能性が高い。

 

 一方、「全銀EDIシステム(以下、ZEDI)」は、2018年12月の稼働開始を予定している。ZEDIとは、総合振込に商流情報を付加し送信できるようにしたシステムで、これまで固定電話網を用いていた金融機関との振込や入金明細データの交換がインターネットを利用しZEDIを介した交換に切り替わる。データフォーマットも従来の固定長から柔軟性・拡張性の高いXMLに変わり、データ交換用の通信プロトコルも流通BMSで採用されているJX手順となる。18年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」においても、平成 32 年までの送金電文の全面的 XML 化を着実に実現することが明記されている。

 

 ZEDIに移行すると、固定電話網を使用する従来型EDIでは取引銀行への総合振込ができなくなる。対処するためには取引銀行に確認を取り、自社の経理部門とシステム部門で調整をしたうえで、インターネットEDIに移行しなければならない。

 このように、手間とコストがかかるインターネットEDIへの切り替えだが、デメリットばかりではない。中井氏は「いち早くデータ連携基盤を構築することで、物流業務の効率化や経理・決済業務の効率化につながり、ビジネスも拡大できます」と訴えている。

 

EDI基盤に求められる新たな役割

 

 インターネットEDIに移行すると従来のEDI基盤に加えて、ウイルスやインターネット経由の攻撃に備える「セキュリティー対策」や、システム障害や災害時でも取引を止めない「事業継続対策」も必要になる。また、海外に拠点がある企業や、複数の業務システムを抱えている企業はそれらをつなぐデータ連携の基盤も必要だ。

 

 これらのシステムをゼロから手作りすることは現実的ではなく、インターネットEDIから社内のデータ連携まですべて対応するデータ連携ソリューションを活用すれば、システム部門に負担をかけることなく、短期間でデータ連携の基盤が導入できる。データ・アプリケーションでは、データ連携ソリューションの「ACMSシリーズ」を提供してこれらのニーズに応えている。ACMSシリーズの中でも最上位版の「ACMS Apex」は、B2Bの取引はもちろんのこと、複数に分散している業務システムのデータ統合、システム間の連携、クラウドシステムとの連携など、データ連携で必要な機能をすべて備えたエンタープライズ・データ連携基盤だ。

 

 セキュリティーについては、クレジットカード業界標準のPCI DSSに準拠してデータに限らずサーバー間の通信も暗号化する。事業継続対策についても、サーバー障害時も素早く代替サーバーに切り替え、通信サーバーの障害時もデータ連携を維持する高可用性を確保している。

 

 インターネットEDIでは、JX手順、ebXML MS 2.0/3.0、EDIINT AS2、SFTP、OFTP2、全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)の6大プロトコルに対応。従来型EDIの全銀手順やJCA手順にも対応しているため、必要な取引先から段階的に通信手順を切り替えていくことができる。

 

 ZEDIへの対応についてもXML電文の作成・変換機能、JX手順、クライアント証明書管理機能の3つをパッケージで提供する。また、ZEDIを介して総合振込を行いたい支払企業と、振込入金通知や入出金取引明細を受け取りたい受取企業の双方の業務に適応が可能だ。

 

 「ACMS Apexは、大手の小売を筆頭に、卸や商社など大量のデータを日々やり取りしている取引量が多い企業や、海外の取引先とデータ交換を行っている企業に最適です。また、ACMSシリーズにはあらゆるEDIに対応するACMS B2B、中小規模向けEDIクライアントソフトのACMS Lite Neoもあり、用途に合わせてお選びいただけます」(中井氏)

 

 

IP網への移行とZEDIへの対応の2つを同時に実現する「ACMS Apex」


 NTT東西の地道な周知活動によって比較的危機意識が浸透しているIP網への移行に対して、ZEDIの企業への周知は遅れが見えるという中井氏。その対策について「銀行業界からの呼びかけを待つより、流通BMSで先行している流通業界としては“どうすればいいか?”と積極的に銀行に問いかけてみてください。ZEDIの対応には受取企業と支払企業の双方の対応が必要になるので、流通業界が足並みを揃えていくことが重要です」と話している。

 IP網への移行とZEDIへの対応の2つを同時に実現し、複数システムの管理・運用も一元化できるACMS Apex。効率経営を実現するためにも検討の価値はありそうだ。

 

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