流通BMSから全銀EDIシステム(ZEDI)まで、複数の通信手順を一元的に管理する方法

セイコーソリューションズ
システムソリューション統括部
SS営業部長
三浦 宏道 氏

SS営業部 SS営業3課
恒松 俊行 氏

 

 金融業界では金融EDIの新プラットフォーム「全銀EDIシステム(ZEDI)」が2018年12月から始まり、流通事業者からは高い注目を集めている。しかし、新たな通信手順が増えると課題になるのが、複数プロトコルの管理と運用だ。折しも流通業界は、ISDNディジタル通信モードが廃止される2024年に向けて、レガシー手順からの切り替えの真っ最中。移行期間中はJCA手順や流通BMSなど、複数プロトコルの管理が必要になる。そこで、複数プロトコルの運用管理のポイントについて、統合EDIサーバー構築パッケージ「ROS3(ロスキュービック)」を提供するセイコーソリューションズに話を聞いた。

 


インターネットEDIへの切り替えは今がチャンス

 

 2018年12月25日から稼働を開始した「ZEDI(全銀EDIシステム)」は、企業の決済事務の効率化、生産性の向上に向けて、企業間の銀行送金電文に取引明細情報、請求書情報、担当者連絡先情報などを乗せて電子的に交換可能とするために開発された。これまで、総合振込の際に送信できるEDI情報は固定長形式で20桁までだったが、ZEDIではデータ形式がXMLに変わり、伝達できる情報量は格段に増える。

 

 XML電文により、企業間の取引において支払企業側は入金照合に関する受取企業からの問い合わせ対応が削減できる。受取企業は売掛金の消込作業の効率化が実現し、消込作業に従事していた人的リソースを営業活動など他の業務へシフトすることが可能になる。ただし、ZEDIに移行するためには、固定電話網を使用する全銀手順や全銀TCP/IPからインターネットEDIに切り替えなければならない。

 

 一方、2024年1月にはNTT東西のISDNディジタル通信モードが廃止されることが決定している。すると、ISDN回線を使用したJCA手順はもちろんのこと、全銀手順、全銀TCP/IP手順は利用できなくなるため、商品の発注や代金の支払も不可能になる。残された期間はあと5年近くあるものの、廃止の時期が迫れば駆け込みでの切り替え需要が増え、ITベンダーの奪い合いとなることは間違いない。

 

 ZEDIのメリットをいち早く享受し、ISDNディジタル通信モードの廃止に備えるなら、インターネットEDIへの切り替えは今がチャンスといえる。

 

 

多様なプロトコルを統合管理する統合EDIサーバー構築パッケージ「ROS3」

 

 インターネットEDIへの切り替えを考えた時、注意が必要だ。取引先が複数あると、物理的にも内部リソース的にもコスト的にも、すべてを一気に切り替えるわけにはいかない。仕入先、販売先、物流業者、金融機関などの接続先との協議のうえ、徐々に切り替えていくことになる。

 

 そのため、しばらくの間は、流通系ならJCA手順と流通BMS、決済系なら全銀手順、全銀TCP/IP、全銀TCP/IP(広域IP網)、ZEDIが混在することは避けられない。三浦氏は「通信手順の切り替えは取引先ありきであるため、相手の準備ができたところから進めることになります。一斉切り替えはリスクも伴うことから、地域ごとに分けて順次移行するケースが多いようです」と指摘する。

 

 こうしたニーズに対してセイコーソリューションズでは、複数プロトコルを一元的に管理する統合EDIサーバー構築パッケージ「ROS3(ロスキュービック)」を提供している。目的に応じてEDI/対外接続システムに必要な機能やプロトコルを選択でき、短期間かつ低コストで信頼性の高いシステムが構築できるのだ。通信プロトコルは「オプション」で対応し、流通BMS(AS2手順、JX手順、ebXML手順)、ZEDI、全銀TCP/IP(広域IP網)、全銀手順、全銀TCP/IP 、JCA手順、FTP、SFTP、HULFTなどから必要なものを選ぶだけでよい。

 

 ROS3なら多様なプロトコルが混在していても、統一された運用管理画面によって統合管理ができるため、運用負荷もかからない。運用中に新たな接続先が増えてもシステム内で容易に追加が可能だ。恒松氏は「接続先の手順がJCA、流通BMS、全銀TCP/IPと分かれている場合でも、それぞれでEDIサーバーを構築する必要はありません。複数のEDIシステムを統合できるので、運用保守の手間とコストを大幅に削減できます」と話す。

 ライセンス体系もシンプルで、接続相手先の数に関係なく、1サーバー1ライセンスとなっている。また、豊富なAPIを用意しており、外部のアプリケーションや基幹システムとも柔軟に連携が可能だ。

 EDIに必要な機能は細分化し、JOBコマンドとして用意している。伝送機能だけならプログラムを作る必要はなく、機能ごとに用意された22個のJOBコマンドから「受信後処理」「宛先変換」「伝送要求」などを選ぶだけでよい。「これらのジョブファイルを複数作成しておき、必要に応じて呼び出せば目的に応じたEDI機能を実行します」と恒松氏は説明する。

 

 

導入実績は約30年間で2,900本以上

 

 ROS3は1994年の発売以来、流通業、金融業、製造業をはじめ幅広い業種、業態に採用され、2,900本以上の導入実績があるパッケージだ。金融業界では、クレジットカード会社や銀行の共同センターなどで採用され、採用実績の約33%を占める。流通業界では、スーパー、コンビニ、ホームセンター、ドラッグストアなど主要小売業を網羅し、採用実績の約36%を占める。その他、製造業、情報通信業界、運輸業、旅行業など幅広い導入実績がある。


 「当社の強みは、通信の足回りから支えることができ、あらゆるものを“つなぐ”ことにあります。マルチプロトコルコンバーター「USTシリーズ」をはじめとするハードウェアを自社で製造し、システムインテグレーターとして、システム開発から導入支援、動作テスト、技術支援、運用、保守、サポートまですべて自社で対応します。24時間365日の安定稼働が求められる金融機関との取引が豊富なため、厳しいセキュリティー基準にも準拠し、インターネット通信でも鍵や暗号を使ったSFTP通信でセキュアに接続します」(三浦氏)

 金融系、流通系ともに通信手順の標準化は進みつつあるが、インターネットEDIに切り替わる「過渡期」である現在は、レガシーな通信手順も残り、それらに対応する必要がある。ビジネスのグローバル化で、海外企業との接続も増えるため、国際標準のISO 8583への対応も求められる。その点、対外接続に特化し、あらゆる通信手順をカバーするROS3なら、安心して対応ができそうだ。

 

 

 

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