中小企業がコストをかけずに流通BMSに切り替える解決策

株式会社TOKAIコミュニケーションズ
法人営業本部 東日本事業部
営業三部 営業二課
課長
遠藤 豪 氏


法人営業本部 東日本事業部
営業三部 営業二課
萩原 敦 氏

 

 大手小売業を中心に普及が進む流通BMSだが、中小企業を見ると導入のペースは遅れている。しかし、24年にISDNのディジタル通信モードの廃止が決まったことで、JCA手順からの切り替えが必須となった。とはいえ、中小企業にとってコストは大きな悩みだ。さらに、ITの担当者がいないために、どこからどう手を付けていいかわからないという問題もある。そこで、中小企業が流通BMSに切り替える最も簡単でコストがかからない方法について、EDIデータ交換ソリューション「JFTシリーズ」を提供するTOKAIコミュニケーションズに話を聞いた。

 

 

IT投資は20年までが効果的

 

 流通BMSのメリットや必要性は理解していても、現状の受発注が問題なくできている以上、切り替えたくないというのが中小のメーカー、卸売業者、小売業者の本音だろう。しかし、24年にISDNディジタル通信モードが廃止されることが正式に決まった今、ここ2年、3年の間には否が応でも流通BMSに切り替えなければならない時期に来ている。

 

 重い腰を上げようとした時、最も困るのがコストの問題だ。基幹システムの更改などに合わせて切り替えられたら理想だが、受発注の仕組みだけを切り離している中小企業もあり、そう簡単に行かない。利益に直接は結びつきにくいバックエンドのシステムだけに、経営層を説得しづらいこともネックとなっている。

 

 それ以上の大きな問題が、中小企業には受発注の仕組みがわかる担当者が少ないことだ。多くの中小企業は、導入当時を知る担当者や、運用を長年担ってきたベテランに依存しており、自社のデータ交換がどのような仕組みで行われているかを把握していないことが多い。仮に理解できたとしても、人に依存した運用を今後も続けていくのは非効率だ。遠藤氏は「企業の人手不足が問題となる中、利益に直結しない受発注システムの運用は外部のプロフェッショナルに任せ、社員は本来の業務に注力するべきです」と話す。

 社内の技術者がいない以上に今後深刻になりそうな問題は、EDIシステムを導入するITベンダーの取り合いが発生すること。期限が迫れば迫るほど、受発注システムの切り替えに対する需要は高まる。ITベンダーは大口の大企業を中心にIT人材を割り当てていくため、中小企業が声をかけたとしても対応が後回しになってしまう可能性は高い。優秀なエンジニアも他で取られていることが多く、経験豊富なエンジニアに対応してもらえるかどうかもわからない。地場のITベンダーも、依頼が集中すれば対応できる数には限りがある。あくまでもタイミングの問題だが、切羽詰まってから困らないためにも、対応が早いほうがベストであることは間違いない。もはやIT投資がどうこうとは言っていられない状況なのだ。

 

 「IT投資はどこの企業も抱えている問題で、世間の景気に左右される側面もあります。景気の面で考えるなら、20年以降の見通しが予測できない今、ISDNが終了する24年まで待つより、日本全体が上げ潮ムードにある20年に向けて実施するのが経営層を説得するうえでも効果があると思ったほうがいいでしょう」(遠藤氏)

 


月額3万円から利用できるクラウド型EDIサービス「JFT/SaaS」

 

 こうした課題に対してTOKAIコミュニケーションズでは、月額3万円から利用ができ、運用もすべてTOKAIコミュニケーションズに委託できる中小企業向けのクラウド型EDIサービス「JFT/SaaS」を提供している。JFT/SaaSは、法人向けのさまざまな対外データ交換機能をサービス化したもので、ユーザーはインターネットを介してJFT/SaaSにアクセスして配信ファイルや集信指示ファイルをアップロードしたり、集信ファイルをダウンロードしたりするだけでよい。配信ファイルや集信ファイルを固定長、可変長、CSV、XMLなどに変換するレイアウト変換はすべてJFT/SaaS側で対応する。そこから先の取引先への接続もJFT/SaaSが行い、流通BMSからJCA手順、Web-EDI、全銀手順など多くの通信プロトコルに対応している。ユーザーは取引先の接続形態に合わせて切り替えることができる。自社でEDIシステムやネットワーク回線を用意して導入する必要もなく、機器の維持管理やシステム運用も不要になる。

 

 初期費用は12万円の基本設定料金に、通信機能費用として1手順あたり6万円を加えた18万円から。月額費用は1手順あたり3万円からと、かなりリーズナブルだ。社内稟議や社長決済まで通さなくても、部内決済が済む。月額料金制を採用しているため資産計上する必要がなく、会計制度面でもメリットとなる。月額費用は、1カ月あたりの通信処理数によって異なるが、萩原氏は「明細単位で決まる他社サービスと比べて、JFT/SaaSはファイルの本数単位での課金となるため、繁忙期でもコストを平均的に抑えることができます」と語っている。

 他社の同様サービスと比較してあまりにも安価であるため、サービスの品質を心配する声もあるが、そこにはきちんとした理由もある。萩原氏は「プラットフォームやネットワークを複数のユーザーで共用するパブリック型サービスであることです。さらに、データセンター、通信回線サービス、プラットフォーム、EDIパッケージはほぼTOKAIコミュニケーションズが自社で保有しているものを利用しているため、安価なサービスの提供が可能なのです」と説明する。

 

 

24時間365日のワンストップサービス

 

 信頼性の面でも大規模VANサービスでの利用実績があり、データセンターの堅牢性確保に対する意識が高い。システムの障害が発生した際では24時間365日、EDI専門部隊による運用保守サービスを提供しており、システム側のトラブルで日々の受発注業務が停滞する心配はない。

 

 検討からおよそ10営業日で利用が可能で、最長でも20営業日あれば導入はできる。サービス提供地域も全国をカバーし、EDIに詳しいエキスパートが対応することから、コストや運用人員を割けない中小企業にとっても導入のハードルは低い。セールスフォースや他のクラウドサービスとの連携機能もあり、クラウドを意識するなら検討の価値はありそうだ。