サステナブルな農法で育むアメリカ大豆 Sustainably Grown U.S. Soy

2020.9.11

アメリカ大使館
農務省 農務官

マリア・ラホスカヤ氏(Dr.Maria Rakhovskaya)

USSEC(アメリカ大豆輸出協会)
ディレクター

立石 雅子氏(Masako Tateishi)

記事概要イメージ画像

 アメリカの大豆生産者は、国や輸出協会のサポートのもと、土壌保全、水管理、温室効果ガス削減などサステナブルな取り組みを行っている。アメリカ大使館 農務省 農務官のマリア・ラホスカヤ氏とアメリカ大豆輸出協会の立石雅子氏が、アメリカ大豆のサステナビリティについて語った。

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思っていたより身近なアメリカ大豆 知っていましたか?

立石氏

 豆腐や納豆など日本の伝統的な大豆食品には、国産大豆が多く使われていると考えている方が多いでしょう。しかし実際は、日本で使われている大豆の9割が輸入大豆で、そのうちの7割はアメリカ大豆です。この事実を業界外の方にお話すると、ほとんどの方が知らなかったと驚かれます。国産大豆に比べ、アメリカ大豆のイメージというのは漠然としているかもしれません。安心・安全な大豆を日本にお届けするために、アメリカの大豆生産者は日々努力を重ねていますので、その真剣な取り組みを日本のお客さまに伝えるべく、アメリカ大豆輸出協会は長年活動しています。

 

ラホスカヤ氏 

 日本に赴任して以来、豆腐、味噌、納豆など、アメリカ産大豆を使ったおいしい食品が豊富にあることに感動しています。昨年、日本醤油協会主催の「醤油の日」のイベントに参加しました。醤油品評会の賞を獲得した醤油を使用した、とてもおいしいお寿司、パスタ、ステーキなどをいただきました。私はアメリカでも日本食を楽しんでいましたが、実際に日本に住んでからは、長い歴史の中で育まれた伝統大豆製品への敬意が日増しに高まっています。アメリカ産大豆が日本の長い歴史の一部になってきたという事実を誇りに思っています。

 

立石氏 

 確かに日本の食事で大豆が入ってないものを探すのは難しいかもしれませんね。最近のある調査によれば、日本の消費者は16ある主要タンパク源の中で「大豆」が一番良いタンパク源であると考えているという結論でした。2018年の調査では世界の主要20カ国のうち、インドネシアと並び、大豆愛が一番強い国民ということを裏づけています。

 

 大豆は伝統製品に留まらず、その領域を超えたプラントベースフードやソイオイル、サプリメントまで、イノべーティブな製品も数多く販売されています。大豆は健康的で奥深く、汎用性が高いため、無限の可能性を秘めています。これからも多様性や国際性を積極的に取り入れ、サステナビリティに取り組んでいけば、さらにダイナミックに進化していくことができると信じています。

 

豆腐や納豆、醤油など身近な伝統大豆製品はアメリカ大豆が原料となっていることが多い。

 

 

日本の食卓に貢献するサステナビリティ認証大豆

ラホスカヤ氏 

 国連が15年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)は、地球のサステナビリティへの懸念を反映しています。使用している材料などについて外部からのチェックが増していることもあり、「フォーチュン500」に掲載されているグローバル企業の75%が、サステナビリティのリポートを出しています。

 

 食材などの原材料に関わる関心も強まっており、持続可能な方法が用いられているのかどうかを消費者は知りたがっています。食の安全性や健康、環境問題が絡み合い、そういう流れが昨今のプラントベースフードブームにもつながっているのだと思います。

 

 米国農務省(USDA)は持続可能な農業を支援し、振興しています。アメリカでは1930年代に、無計画な農地管理が横行しており、「ダストボウル※」と呼ばれた大規模な砂嵐が発生し、主要な都市に大きな被害を与えました。この反省からも、健康的な環境、経済的な利潤、そして社会的な公平性を調和させた農業が実施されるようになっています。

 

※1930年代のダストボウルで被害を受けたテキサス州やオクラホマ州などの農家は、大平原から脱出せざるをえなくなり、農地を失うこととなった。写真は、テキサス州スタートフォードに接近するダストボウル。これがサステナブルな農業の始まりとなる。

 

 

 

 

 

 

立石氏 

 13年、アメリカ大豆輸出協会(USSEC)は、世界でも多測面のサステナビリティで先行するEUからのリクエストにより、「サステナビリティ認証プロトコル(SSAP)」を開発しました。制度の認知向上に伴い8月時点で、日本に輸入されているアメリカ産大豆のうち、7割にあたる約174万トンが、SSAP付きの大豆となり、昨年から出荷量が激増しました。日本の食を支える主要サプライヤーとして、食卓に安心・安全な大豆を安定的にお届けすることが私たちの最大ミッションですから、このS S A P 認証制度により、より安心・安全の仕組みを可視化し、ご理解いただきやすくなったかと感じています。SSAP認証大豆やその派生品を使用して作られた製品には、SSAP認証ロゴを貼ることができますので、サステナビリティやSDGsに取り組まれる食品・飲料メーカーが、環境意識の高い消費者に訴求するお手伝いができれば嬉しいです。

 

 この認証には4つのルールがあり、①生物多様性や生態系の維持②サステナブルな生産活動③生産農家の労働環境改善④生産活動と環境保護の継続的改善――となります。S S A P認証制度は、アメリカの大豆生産をサステナブルにするための規制、手順、経営方法についてのプロセスを説明するもので、環境への負荷が少なく、サステナブルな方法で生産された大豆とサプライチェーンの企業に対し、輸出時に、出荷先のご要望に基づいて証明書を発行するシステムになっています。

 

ラホスカヤ氏 

 アメリカ中のオフィスに散らばっているUSDAの同僚たちは、アメリカの大豆農家とともにサステナブルな農業という共通のゴールを目指して業務にあたっています。例えば、ダストボウルの災害によって創立された自然資源保全局(NRCS)は、大豆生産者などの農家に技術指導を行っています。

 

立石氏 

 80年の歴史を持つNRCSは環境に配慮しつつ、日本向けの安心・安全な大豆の安定供給を実現するうえで大きな役割を果たしてきたということですね。アメリカによるサステナブルな農法の歴史が、日本の伝統大豆製品を支えてきたとも言えますね。

 

ラホスカヤ氏 

 はい、日米のパートナーシップは、まさにサステナブルです!

 

 

 アメリカの大豆生産者は97%が家族経営。限りある資源の中で次世代につなぐ農業を継続できるよう、土壌の健康を守り、水を管理し、エネルギー利用を効率化し、農薬散布をできるだけ減らすなどの活動に取り組んでいる。

 

 

大豆の安定供給へのサステナブルな取り組み

立石氏 

 現在、異常気象が頻発し、被害を受けた地域では農産物が高騰しています。アメリカ約30州の広大な面積で、その土地土地にあった生産方式で環境負荷を減らしながら生産している大豆は、1つの地域で被害がでても、他の地域から調達するといったリスク管理が可能です。気候変動や自然災害の影響に強い品種も日々研究されています。毎日、何気なく食べている大豆ですが、日本への安定供給の背景には、持続可能な農業を可能にしてきたUSDAをはじめとする関連団体、生産者、大学・研究者、輸入商社、加工食品メーカーなど、日米の大豆サプライチェーン関係者のたゆまぬ努力が存在しています。

 

「私たちが日々食べる食材はどのように作られ、どこから来ているのか」など食料の生産工程、供給、安定確保などに関心を持ちつつ、地球環境について考えていくことは、今後さらに大切になるでしょう。そうすると自然と生産者や携わった人々への感謝の気持ちが持て、同じ食材でも味わいが深まるのかもしれませんね。

 

 日本でもSDGsへの取り組みなどを通じて、環境に配慮したサステナブルな調達への関心が高まっていますが、その懸け橋としてSSAP認証が貢献できると考えています。SSAP認証にご興味を持っていただけた方は、ご連絡をいただきたいです。

 

ラホスカヤ氏 

 USDAはアメリカ大豆輸出協会と協力し、アメリカ大豆農家と日本の食品産業の強い絆をこれからも支えていきます。アメリカ大豆のSSAP認証こそが、アメリカの農家たちの努力の「証」です。日本の消費者が、この取り組みを応援してくださっているということで、大変喜んでいます。

 

 

 

 


●アメリカ大豆サステナビリティ認証プロトコルとは

About U.S. Soy Sustainability Assurance Protocol

 

 「サステナビリティ認証プロトコル(SSAP)」は、第三者機関の認証と監査を受ける集団的な取り組みであり、全米規模でサステナブルな大豆生産が行われていることを示すもの。環境への負荷が少なく、サステナブルな方法で生産・管理された大豆に対して証明書を発行する。現在では様々な国際的なサステナビリティの基準に合致すべく評価を得ている。

 

 

●アメリカ大豆サステナビリティ 認証の4つのルール

Four Directives of U.S. Soy Sustainability Assurance Protocol

 

1)生物多様性と生態系の維持

 (生産地域を制限し、森林を伐採せず生態系を守りながら生産)

2)サステナブルな生産活動

(保全耕起法などの法律に基づき、GPS技術を活用した精密農業を取り入れ、環境を守りながら生産活動を行う)

3)生産農家の労働環境改善

(労働者の健康と福祉を守り、サステナブルな手法で生産管理する)

4)生産活動と環境保護の継続的改善

(継続的な生産活動の改善と環境保護の向上を目指す。これらの実現のために技術やデータを利用する)

 


●サステナビリティ認証ロゴ その活用のメリット

 現在、日本国内外では「サステナビリティ認証プロトコル(SSAP)」認証ロゴの付いた商品が、300品以上流通している。認証ロゴを商品パッケージに印刷して、販促活動に取り組むメーカーが増加中だ。認証ロゴの付いた大豆商品ならサステナブルな原料であり、CSRやSDGsの面でもアピールができる。さらにブランド価値を向上、より信頼できるサプライヤーを特定するなど、サステナブルな調達に取り組むメリットは数多い。さらにUSSECはSSAPを申請して、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から「持続可能性に配慮した農産物」の調達コードに適合することが認められている。

 

●サステナビリティ認証 ロゴ商品でSDGsに貢献

 世界的にSDGsの17の目標達成への関心が高まるなか、アメリカ大豆の「サステナビリティ認証プロトコル」は、SDGsのターゲットと重なる部分が多くある。認証ロゴを商品パッケージに印刷した大豆食品によって、消費者のSDGsに沿った購買活動をサポートすることが可能となる。

 

 認証プロトコルは、SDGsの6つのターゲットへマッピングされるが、その6つとは「2・飢餓をゼロに」「6・安全な水とトイレを世界中に」「12・つくる責任 つかう責任」「13・気候変動に具体的な対策を」「15・陸の豊かさも守ろう」「17・パートナーシップで目標を達成しよう」である。特に力を入れている分野は、環境面での回復力(=レジリエンス)を高める研究や、農法のためのさらなるパートナーシップの探求などである。土壌の健康状態を良くし、水を管理し、エネルギー利用を効率化、温室効果ガス排出を削減することで、CSRにおいての将来的なリスク管理につながり、SDGsの目標達成にも貢献できる。

 

 

●SSAP認証ロゴを使用するメリット

・お客さまにサステナブルな原料を使用した製品であることをアピール

・CSR に対する積極的な取り組みのお手伝い

・PR の機会

・サプライチェーンにおけるサプライヤーとのパートナーシップ向上

・EUなどサステナビリティを重視する市場への海外輸出の機会

 

●サステナブルな調達に取り組むメリット

・ブランド価値を向上できる 

・より信頼できるパートナーであるサプライヤーを特定する

・従業員の関心を引きつけ、離職率を低く抑える

・事業効率を大幅に改善する

・新しい収益の流れを作り出す

・ステークホルダー/株主の期待に応える

・まずは、身近な食材、取り組みやすい大豆から始めてみる

・将来的なリスク管理になる

サステナビリティ認証ロゴは、商品パッケージに

印刷してアピールすることができる。

 

 

アメリカ大豆サステナビリティプロトコル認証 取得食品

U.S. Soy Sustainability Assurance Protocol(SSAP) Certified Food

 

埼玉糧穀

埼玉糧穀は、アメリカ大豆の輸入商社。オハイオ州シュワルツファ―ムで生産された食品大豆を豆腐、油揚げ、納豆メーカーなどに供給。日本へ輸出する30キロの紙袋にはSSAP認証マークが付けられ、分別生産流通管理された食品大豆であることが明示される。

 

 

 

三好食品工業

[木綿とうふ ソフトとうふ]

九州では定番の、サイコロ型のもめん豆腐とソフト豆腐。原料には、豆腐の老舗が選び抜いた、安心安全のアメリカ産契約栽培大豆を使用。豊かな風味を引き出すために、にがり100%で仕上げている。

 

 

ベジプロフーズ

コンビニなどで購入できるいなり寿司の油揚げにもアメリカ大豆が使われている。業務用「味付け油揚げ」を製造しているベジプロフーズでは、サステナビリティ認証を取得した非遺伝子組み換え大豆を使用。ジューシーないなり寿司の油揚げを提供している。

 

 

 

三基商事

[ミキプロティーン95 スープリーム]

約40年前から製造販売されている「ミキプロティーン95」は、健康食品初のサステナビリティ認証を取得。95%が非遺伝子組換え大豆由来の分離大豆たんぱくで、必須アミノ酸をバランス良く含む。料理に使えることにこだわり、あえて原料そのままの味を生かしている。

 

 

保谷納豆

[ 極だし納豆]

炭火を用いた独自の発酵法「炭火造りの製法」(特許製法)で、サステナビリティ認証大豆本来の風味とうまみを大切にした納豆に仕上げている。鰹節とのりの風味をきかせた「極(きわ)だし」も特徴。

 

 

伊丹食品

[ ソフトもめん]

国産大豆に近い味わいを持つアメリカ・バージニア州産の大豆を使用し、創業以来受け継がれてきた技と北海道の地下からくみ上げた軟水で作るもめん豆腐は、絹のような滑らかさが特徴。サステナビリティ認証を得ていることで、学校給食にも採用されている。

 

 

 

オーケー食品工業

[ 味付油あげ(いなり用の三角タイプ )]

オーケー食品工業は、業務用味付寿司揚げを中心に製造する業界のパイオニア。きつねの耳を模した三角形の味付揚げは、主に西日本で販売されている。いなり寿司のほか、うどんやそばのきつね揚げとしても使用できる。

 

 

 

 

 

 

小杉食品

[おちびさん つゆだく]

三重県桑名市にある小杉食品の売れ筋1位商品が「おちびさん つゆだく」。量が多く少し甘めのタレが入り、糸切れがよく、臭いも気にならずに食べやすいと大好評。アメリカ大豆サステナビリティアンバサダー賞2019を受賞した。

 

 

 

高橋食品工業

[ 有機納豆]

京都伏見の納豆専門メーカーが、有機JAS認定を受けたアメリカ産オーガニック大豆で作ったこだわりの中粒納豆。第20回全国納豆鑑評会にて、アメリカ大豆部門の特別賞を受賞している。

 

 

マルキン食品

[元気納豆 昆布たれ付]

同社社長は米国でサステナビリティの意識が消費者に根付いていることを実感。サステナビリティ認証大豆の導入を決断した。「元気納豆 昆布たれ付」は、第25回全国納豆鑑評会でアメリカ大豆部門特別賞などをダブル受賞した。

 

 

原田製油

[ねばり一番]

アメリカ産のサステナビリティ認証プロトコルに沿って生産された小粒大豆を使用し、「九州の味覚に合わせて調合された甘口かつお風味のタレと、からし付き」の商品。第23回全国納豆鑑評会のアメリカ大豆部門で、アメリカ大豆サステナビリティアンバサダー賞を受賞。

 

 

 

 

アメリカ大豆輸出協会 U.S. Soybean Export Council

東京都港区虎ノ門1-2-20 第3虎の門電気ビル11階

【お問い合わせ】 03-6205-4971

 http://ussoybean.jp

 

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