ただ売れるだけじゃない。暮らしを豊かにする ECデザインを評価した「JECCICA ECデザイン大賞2018」

2018.6.01

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 2018年5月18日、ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)が主催する「JECCICA ECデザイン大賞2018」の最終プレゼンテーションが行われた。PCはもちろん、スマホなど、販売チャネルが拡大し、消費者の流入が期待できるようになった今、ECサイトのデザインは売上をも左右する重要なファクターの一つだ。

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JECCICA ECデザイン大賞2018

 まず、冒頭にJECCICAの代表理事を務める川連一豊氏から挨拶。「ECデザインは生活に根付くインフラとなっています。私たちはEC業界をさらに盛り上げていくために制作や運営の応援やサポートを目的としたECデザイン大賞を実施しています。今回で3回目を迎えますが、ただ売れるための仕組みというわけでなく、私たちの暮らしを豊かにするものを目指していきたい」と実施の目的と目指す未来について語った。最終プレゼンに残ったのは、全部で5組。厳選な抽選のもと、プレゼンの順番が決められ、それぞれ5分間でECサイトのこだわりや自社の強みを発揮しているところをアピールした。

 

 

ECサイトを窓口にリピーターとなるファンを獲得

 トップバッターは、オーダーシャツ専門店 金沢・片町・金港堂。世界で一枚だけのシャツの提供をうたい文句に、ネット販売を開始して12年目の会社だ。ブログからスタートし、2004年にウェブサイトを立ち上げ、2017年にサイトリニューアル。「フルオーダー」という点から決して安売りをしたくないという点を強調。一方で新たな顧客創造のために、オーダーする際のステップを5つに抑えることで、敷居を下げることにも注力したと話した。このサイトではそれぞれ職業に合ったシャツを提案する職業別オーダーシステムもユニークだ。会場からECサイトを作ったことによる売上増加について質問が上がると、毎年微増していると回答した。

 

 次に登場したのは、回生薬局 漢方未病ラボ オンラインショップ。九州の福岡県や佐賀県で展開する漢方薬局で、クルマ社会で処方箋のドライブスルーを目指しているという。そもそも未病とは「病気ではないが、なんとなく体調が悪く、健康でもない状態」を表すもの。顧客流入のPV数が高い回生薬局のサイトをリニューアルする際にサイト内に入れ込むことで、自然流入の予測をしていたと話した。審査員からカラフルな色でデザインした理由について問われると、実店舗への来店者が30~40代の女性が中心ということで、華やかで美しい色を意識したデザインを採用したと話した。既に漢方の知識があるお客様をターゲットに商品検索ができるのとともに、春夏秋冬などの季節に応じたオススメの漢方を用意するなど、購入者への細やかな心配りが感じられるサイトだった。

 

 

お客様のニーズを真摯に受け止め、よりよいサイト作りに邁進

 三番手に登場したのは、RISOLI JAPAN(リゾリ ジャパン)。グルメの本場イタリアで、作られているフライパンなどを始めとするキッチンツールを販売している。サイトのこだわりは、1.イタリア商品である高級感を打ち出したこと 2.商品のリアリティを伝えるためのコピーを採用 3.ブランドカラーであるグリーンをベースに男性を意識したデザインにしているという、3点をアピールした。サイトオープンから半年で、ファンを飽きさせないために日々、進化させていると強調。参加者からはECサイトの認知度アップのために、どういう手法を取っているのかについて質問が上がると、制作者自身が開催するお料理教室で紹介したり、全国のイタリアンレストランにレリーフを置いてもらったりと、あらゆる手段を使って認知を高めるための取り組みにも積極的なのが印象的だった。

 

 四番手は、創業から106年の世界的にも有名なアウトドアブランド「LL.Bean」。まずはECサイトを制作する際、モバイルファーストのUI・UX改善を行ってきたと紹介。商品主役とするため、なるべく1ページ内で全ての情報が網羅できるようにデザインしたという。同社はまた“スピードもデザイン”と捉え、操作性にもこだわり、4秒以内での表示を目指していると話した。会場から顧客レビューのほかに、スタッフレビューがある理由について聞かれると、新商品についてお客様が使ったことがないため、スタッフが口コミを投稿していると回答。既存の商品についても、スタッフレビューはそれぞれの裁量に任せ、公平性を保つようにしているが、今後はお客様の声を真摯に受け止め、今後もトライ&エラーを繰り返し、サイトの課題解決を目指すと意欲を示した。

 

 最後は、過去2回の優勝者が登壇。今回、ベルギービール JAPANのサイトについてPRした。まず名古屋で127年を誇る歴史のある酒店を継いだ四代目が始めたもので、店主がベルギービールを飲んで、その味に惚れ込み、2004年にベルギービール JAPANを設立したという経緯を紹介。ECサイトの配色は、ビールそのものを引き立てるためにシンプルなベルギー国旗の黒、赤、黄をチョイス。会場から「グラスに注がれたビールのビジュアルがあり、イメージが付きやすい」と指摘されると、ビールのおいしさを視覚的に伝えるために、写真にはかなりこだわったと話した。B to B向けの会員サイトでは、プロ向けの商品説明にこだわったと紹介した。

 

 

 

結果発表(総括) ノウハウと工夫でより良いサイト作り

 全てのプレゼンテーションが終わると、審査員だけでなく、プレゼンを聞いた参加者も投票。

 

「JECCICA ECデザイン大賞2018」の一番優れたサイトに贈られるダイヤモンド賞には、オーダーシャツ専門店 金沢・片町・金港堂が選ばれた。

 

 シルバー賞はRISOLI JAPAN、ゴールド賞には回生薬局 漢方未病ラボ オンラインショップ。プラチナ賞には、ベルギービール JAPAN。オーダーシャツ専門店 金沢・片町・金港堂の代表を務める宮谷隆之氏は、「ECサイトがなければ、とうに消滅していたと思います。うちの稼業を継続できたのはECサイトのおかげ。今後もいい商品を届けられるようにがんばりたい」と受賞の喜びをにじませていた。最新のECサイトを知り、さらに具体的な工夫ポイントを知るチャンスがある。「JECCICA ECデザイン大賞2018」は、制作者を励ますだけでなく、様々なECサイトデザインのためのノウハウがたくさん詰まっているものだった。

 

 

 

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