専門店経営の課題解決! スタッフを集めやすい魅力的な店舗づくりが鍵

2017.7.12

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 専門店を取り巻く環境は厳しさを増している。消費者は「近場志向」を強め、人手不足への対応も急務だ。専門店にはどのような店舗づくりが求められるのか。優秀なスタッフを確保するための手法や、実店舗とネットショップの共存、店長に求められる役割などについて、数多くの流通業のコンサルティング経験を持つ船井総合研究所の宇都宮勉氏に話を聞いた。

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従業員確保が急務

 最近の消費者は「近場志向」を強めています。そのため自転車や徒歩で行ける小商圏型の業態や、自宅で買い物を済ませられるネット通販が人気です。
 
 ドラッグストアやディスカウントストアなどは近場志向の需要に応えていますが、さらなる集客を図るため様々な施策を展開しています。メイン商材ではない食品を特価で販売する手法が好例です。食品スーパーの代わりとして日常的に使える店舗になることで、医薬品や雑貨など主要商材の売り上げ増につなげています。
 
 一方、人手不足の問題は専門店でも大きな経営課題です。営業時間を短縮せざるを得なかったり、優秀なスタッフを確保できないことで接客サービスの質が低下し、客離れが起きたりする恐れがあります。
 
 人口構造に起因する慢性的な人手不足は今後も続きます。そのため、消費者が「ここで買い物がしたい」と思う店舗をつくる以前に、スタッフが「ここで働きたい」と希望する店舗をつくることが先決です。優秀なスタッフが集まれば良い店になる可能性が高まり、良い顧客も来店して繁盛店になるからです。
 
 具体的には、スタッフを集めやすいおしゃれなイメージの業態を新たに開発するのが一案です。既存店の場合はスタッフの募集媒体を見直すなど、採用ノウハウを徹底的に研究することが繁盛店づくりの鍵になるでしょう。

 

 

顧客接点を重視

 実店舗とネットショップを展開している専門店は多いですが、顧客管理システムの整理・統合はあまり進んでいないようです。実店舗とネットショップが別々に顧客を管理していると、購買日や購買内容、購買頻度などを正確に把握できません。そのため的外れなダイレクトメール(DM)の送付などにつながり、顧客満足度の低下や客離れを引き起こす恐れがあります。部門の壁を超えて顧客情報を整理・統合し、その顧客の生涯購買金額をいかに最大化していくかに知恵を絞るべきです。在庫の共通化なども進める必要があります。
 
 繁盛店をつくるためには、スタッフは顧客と接する時間をいかに増やすかを意識して行動することが大切です。当社が実施した覆面調査では、業績が良い店舗ほどスタッフが積極的に顧客に声をかけていました。
 
 店長が心得るべきことは、顧客とコミュニケーションを図るようスタッフを促すと同時に、打者によって守備体系を変える指示を出す野球の監督のように、売り場全体を見てスタッフの立ち位置を的確に指示することです。繁忙期など、スタッフに多少無理をしてでもシフトに入ってもらえるような人間関係を築くことも店長の重要な仕事といえます。
 
 店長が売り場全体に目配りできるようになるためには、それなりの訓練が必要です。そのため、経営者は一時的に人件費が増えたとしても、店長をシフトから外すことを実行することが肝心です。店長が現場で忙殺されるようでは、売り場全体を見ることができず、結果的に店舗がうまく回らなくなる恐れがあります。
 
 今後は業種・業態の境目がますますあいまいになり、どんな生活スタイルの消費者に、どんな場所でモノを売るかが重要な差別化ポイントになっていくでしょう。顧客起点で品ぞろえを考え、小商圏でも成り立つ店舗づくりが求められると思います。

 

 


《繁盛する専門店づくりのポイント》

 

①スタッフを集めやすい業態をつくる

優秀なスタッフが集まれば良い店になる可能性が高まり、良い顧客が来店して繁盛店になる。おしゃれな業態を開発したり、採用ノウハウを徹底的に研究したりすることがポイントだ。

 

②顧客情報を整理・統合する

実店舗とネットショップの顧客情報を整理・統合し、その顧客の生涯購買金額を最大化することに知恵を絞る。在庫の共通化なども進める必要がある。

 

③店長は売り場全体に目を配る

顧客とスタッフのコミュニケーションを促すためには、売り場全体を見て、スタッフを適切に配置することが欠かせない。経営者は店長をシフトから外し、売り場全体を見る訓練を積ませることが大切だ。

 

 


宇都宮 勉氏(うつのみや・つとむ)

船井総合研究所
上席コンサルタント

 

1991年船井総合研究所入社。これまで300 社以上の国内流通業(メーカー・卸売業・小売業)やサービス業の開発・活性化に携わる。独自の切り口によるマーケティング分析に定評があり、新業態・新店舗の開発から従業員教育まで、オールラウンドに的確な提案を実施している。

 

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