3%に勝つ 飲食店経営の課題解決 ― ITを活用して一体感醸成 スタッフの力引き出す仕組みを

2014.5.28

アップ・トレンド・クリエイツ
代表

白岩 大樹氏

記事概要イメージ画像

 飲食業の人手不足が深刻化している現在、パート・アルバイトの時給は高止まりが続き、出店すらままならない企業がある。急激な反動減はないものの、利用頻度を減らすなど消費増税の影響がじわりと出てくる恐れもある。経営環境が厳しさを増す中、繁盛店となるためにどのような取り組みが必要か。飲食業の現場に詳しいアップ・トレンド・クリエイツ代表の白岩大樹氏に、そのヒントを聞いた。

  • 1

情報共有が第一歩

 パート・アルバイトが多く、勤務時間のばらつきが大きい飲食業は、スタッフの意識に差が生まれやすい業種だといえます。しかし、「飲食店経営は団体競技」です。スタッフの力を引き出し、一丸とならなければ、目標の達成はおぼつかないでしょう。 スタッフの団結を促し、モチベーションを高めるのに役立つのが、メールによる情報共有です。静岡県内に7店舗を展開するとんかつ専門店「かつ政」(運営・まさごグループ)では、営業終了後に各店の店長がスタッフの携帯電話にメールを送る活動を続けています。当日・当月の売り上げ状況や達成率に加え、スタッフの頑張りをたたえ、感謝を伝える内容です。出勤していないスタッフにも店や同僚の様子が分かり、一体感の醸成と目標達成への責任感を芽生えさせることに成功しています。 スタッフに送るメールには、当日・当月の状況に加え、季節限定メニューの出数やアンケートの取得枚数、翌日の予約数と予算など、店の経営状況が分かる情報も記載・共有します。スタッフからスタッフへの感謝の言葉を伝えることで、横のコミュニケーションを促すのもポイント。メールアドレスを教えたくないスタッフがいる場合は、送信内容を印刷して控え室に掲示するなどのフォローも大切です。

 

 

アンケートを利用

  繁盛店づくりの次のステップとしては、お客様の満足度を高めることです。その方法の一つにアンケートの利用があります。 売り上げを見る観点には、量(=金額)と質(=満足度)があります。アンケートの取得枚数は、売り上げの質を測る重要な指標です。売り上げが少ない場合でも、アンケートの取得枚数が多ければ、それだけお客様と密にコミュニケーションできたことを意味しているからです。 「かつ政」では、アンケートはスタッフが客席に用紙とペンを持って行き、記入をお願いします。住所を記入したお客様には、スタッフ手書きのメッセージと有効期限付きの特典を添えた礼状を送り、再来店を促します。 これにより「かつ政」は、約半年間で1万枚を超えるアンケートを取得しました。そのうち約6000枚に住所の記載があり、礼状を出したお客様の約11%が再来店しました。 アンケートの取得から再来店を促す仕組みができたら、店外での営業にも力を入れる必要があります。店内のQSC(商品の質・接客・清潔)に注力するだけで売り上げが増加する時代ではありません。チラシ配りで自分の顔を売ったり、スマートフォン(スマホ)を利用して店の魅力を動画で伝えたりするなど、「攻め」の姿勢で売り上げを「上げる」ことが重要です。

 

 

土台づくりに専念

 飲食業は人手不足・応募不足・売り上げ不足という「三大不足」に悩まされています。それにより増大しているのが現場の負担と店長の業務量です。 IT(情報技術)の活用で省力化できる業務は少なくありません。POS(販売時点情報管理)システムを導入すれば、集計業務を大幅に効率化できます。接客などに専念できる環境をつくるためにも、ITをうまく利用することが大切です。業務負担を軽減することはスタッフの満足度向上にもつながります。 店長は自分が動くべき仕事と、スタッフに任せるべき仕事があることを知る必要があります。店長が日常業務に全力を使い果たしては、経営がままなりません。「パート・アルバイトを店長に」という視点でスタッフに任せる仕事を増やし、次の一手に備えて余力を残しておくことが求められます。新たな人材を獲得するだけでなく、目の前のスタッフの力を引き出し、育てていくことが大切なのです。 飲食業は駆け込み需要による効果がなく、消費増税の影響が見えにくい業種です。割高感を感じた顧客が利用頻度を減らすなど、徐々に影響が顕在化してくる恐れもあります。今は夏場に向けた仕込みの時期と捉え、情報共有の大切さを再確認したり、手分けして礼状の送付に努めたりするなど、繁盛店の土台づくりに専念することが肝心です。

 

 


 

《繁盛する飲食店づくりのポイント》

 

①情報共有とコミュニケーションが鍵

 出勤していないスタッフを含む全従業員に対し、店長が日々の売り上げや出来事、感謝の言葉をメールで伝える。情報の共有により一体感が醸成され、目標達成に団結して進む環境が生まれる。

 

②アンケートの取得枚数にこだわる

 アンケートの取得枚数は売り上げの質を測る指標になる。住所の記入があれば手書きのメッセージと有効期限付きの特典を添えた礼状を送り、再来店を促す。

 

③売り上げを「上げる」努力は必須

 これからの時代は、待ちの姿勢だけでは立ち行かない。積極的に店外に打って出て、売り上げを「上げる」努力が必要だ。

 

④ITをうまく利用する

 本来業務に専念できる環境をつくるため、ITをうまく利用することが大切。業務負担の軽減はスタッフの満足度向上にもつながる。

 

 


白岩 大樹氏(しらいわ・だいき)

大学卒業後、板前として「なだ万」に勤務。2000年から「牛角」のスーパーバイザーを務め、04年からOGMコンサルティングで集客コンサルタントとして活躍。09年アップ・トレンド・クリエイツ設立。「汗を流すコンサルタント」として現場のアルバイトと同じ目線に立つスタイルで数々の収益向上を実現している。

ホームページ▶ http://upt-c.jp

公式ブログ▶ http://ameblo.jp/upt-c

 

  • 1