2011年度 製・配・販連携協議会 総会/フォーラム

2012.7.09

 昨年5月に設立した「製・配・販連携協議会」は、業界を代表する消費財の製造業、卸売り、小売りの各社がサプライチェーンの課題を検討してきた。今回の総会では、返品削減、配送効率化、デジタル・インフラ検討の3つのワーキンググループから活動成果の報告や、製・配・販6社の経営トップによる効率的な情報連携をテーマとしたパネルディスカッションが実施され、サプライチェーン全体の効率化に向けた提言が行われた。

 

 

主催者挨拶  流通経済研究所 理事長 上原征彦氏

 IT(情報技術)の発達により、製・配・販の連携の意味が深まった。IT化が進んでいなかった時代は、伝統的チャネルを通じて製・配・販が取引を行なっていた。しかし、製・配・販を構成している個別企業が持つ情報は限定的で、限られた情報を元にマーケットで競争したり、戦略を作る必要があった。経済界ではこれを「限定合理性」と呼ぶが、マクロ動向がよく見えない中での競争を強いられていた。

 

 現在ではITを活用して製・配・販が情報を共有し計画的に結束していく、「垂直同期化チャネル」という言葉が使われる状態になった。これによって、自社のみならず競合他社の情報を参照し、マクロ動向を直ちに把握することができる。たとえばソフトドリンクなら、自社や競合のソフトドリンクの売れ行きだけをではなくて、日本全体のソフトドリンクの売れ行きを見ることが可能だ。そういう情報を総合的に判断しながら自社のポジショニングや戦略が構築できるようになった。

 

 また、従来の伝統的なチャネルでは、消費者から注文が来て商品を提供するまでのリードタイムが長かったが、垂直同期化チャネルは消費者情報を共有することによってリードタイムを短縮し、在庫効率を向上させることができる。さらに「フォレスター効果」「ブルウィップ効果」とも言われる、川下の変動が川上に大きく響いてしまう現象を、削減する効果も垂直同期化にはある。これによって、製・配・販はよりガッチリと結びついていくことになる。

 

 製・配・販が同じデジタル・インフラを利用することによるメリットには、緊急時の対応効果、競争力を強める効果、震災時の緊急対応効果などが期待される。製・配・販の情報を集約することで、流通に関わるムラ・ムダ・ムラが解消できる。

 こうした流通の効率化に繋がるIT化をより推進していくことが製・配・販連携協議会の役割だと考えている。

 

来賓挨拶  経済産業副大臣 柳澤光美氏

 昨年9月に、経済産業大臣政務官を仰せつかると同時に、原子力災害現地対策本部長を兼務することになった。まず、被災地の状況を自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じなければならないと考え、福島第一原発半径20km圏内の警戒区域を隈無く歩き、仮設住宅を訪ねて住民の皆さんの話を聞き、福島第一原発の事故現場にも何度も訪れた。正直、胸が痛いと言うより、胸が張り裂ける思いだった。住民の皆さんのご苦労はもちろんのこと、関係者の方々の献身的なご努力によって、去年の12月に福島第一原発は冷温停止に押さえ込むことができ、今は2月に立ち上がった復興庁の復興局をヘッドに、一人でも大きい方に一日でも早く帰っていただくために、現地を挙げて除染に取り組むというスタートが切られている。

 

 ご承知の方も多いと思うが、私は流通業出身で、流通政策にはとても関心がある。4月27日には産業構造審議会に、17年ぶりとなる流通部会を再開させた。特に東日本大震災以降、ライフラインを守るインフラとして、流通の重要性が見直されている。国内で競争するばかりではなく、本日のテーマである製・配・販の連携を含め流通全体が協力することで、流ツインフラに乗せて日本の製品やノウハウを世界へ送り出していく取り組みにつなげたいと考えている。

 今日は皆さまの声を率直に聞かせていただき、私がやるべきことに精一杯、取り組んでいきたい。

 

2011年度の製・配・販連携協議会の活動概要報告  流通経済研究所 専務理事 加藤弘貴氏

 製・配・販連携協議会の2011年度の活動は、昨年5月の製・配・販連携協議会の設立式から始まっている。43社の代表が集まり、「製・配・販連携協議会設立宣言」を行なった。このトップマネジメントが集まる会議を元に、運営委委員会とワーキンググループを組織し、活動を推進している。

 

 昨年7月に開かれた第1回運営委委員会で、「返品削減」「配送最適化」「デジタル・インフラ検討」の3つのワーキンググループのテーマを設定した。各社からワーキンググループへの参加を募り、「返品削減」は31社、「配送最適化」には38社、「デジタル・インフラ検討」へは32社がワーキングメンバーとして参加した。ワーキンググループともに昨年9月に第1回を実施し、ワーキンググループの方針が固まったところで第2会の運営委委員会で中間報告を行なった。最終的にそれぞれ8~9回のワーキングを重ね、その結論をとりまとめて運営委委員会に報告し、承認された。この後、各ワーキンググループのリーダー社に発表いただく報告は、第3回の運営委委員会で承認された内容になっている。ワーキング活動は、当初はなかなか議論が噛み合わないところもあったが、各ワーキングメンバーのご協力、リーダーの努力によって良い成果ができたのではないかと考えている。

 

 製・配・販連携協議会は昨年5月に「流通BMS導入宣言」を行ない、それに基づき参加企業の進捗状況を確認している。この度、流通BMS拡大・導入計画の第2次公表としてご案内している。流通BMS拡大・導入計画公表企業50社に加え、スーパーマーケット3団体のご協力により、新たに小売業16社が流通BMS導入宣言に賛同した。スーパーマーケット3団体と日本ボランタリーチェーン協会では、流通BMS推進のシステムとして「スマクラ」という仕組みを提供している。製・配・販連携協議会では、こうした流通BMSの推進活動を今後もフォローしていき、進捗状況をまた報告させていただきたいと考えている。