焼き肉・バーベキュー売り場提案特集 焼き肉・BBQ 自宅で楽しむ 「COMPACT YAKINIKU」で元気に

月城流通研究所

月城 聡之氏

 

 例年、大型連休中に友人などとバーベキューを楽しむ人は多い。しかし今年は、新型コロナウイルスの影響により、大勢でのバーベキューは自粛する例が増えそうだ。行楽シーズンへの逆風に、精肉売り場をどのように盛り上げていけばよいか。流通事情に詳しい月城流通研究所の月城聡之氏に提案してもらった。

 

 

肉が持つパワー

 新型コロナウイルスの影響により、大規模なイベントや職場の会食、接待などの自粛が求められ、外食を楽しむ機会が減っている。その一方で、外食にかかっていた費用を家庭の食費として使うことで、普段とは一味違った食材を購入でき、「食の楽しみ」の幅を広げられる。

 

 そこで、社会が疲弊し、閉塞感が漂う今だからこそ、肉を食べることを提案したい。肉料理には人を元気づけ、幸せにするパワーがあるからだ。

 

 牛肉や豚肉の脂肪に含まれるアラキドン酸は、脳内でアナンダミドという物質に変化し、幸福感や高揚感などをもたらす作用があるといわれている。先行きが見えず、フラストレーションがたまる中、閉塞感や不安感を和らげるのに肉料理はうってつけだ。精肉売り場では「COMPACT YAKINIKU」と銘打ち、自宅で楽しむバーベキューや少人数で楽しむアウトドアバーベキューで、こだわりのおいしい肉を提案していきたい。

 

 

市場に割安感

 アウトドアでのバーベキューは、経験豊富な参加者がいないと大きな肉をシェアして楽しむのは容易ではない。その一方で、自宅での焼き肉は、自分の好きな肉を、自分の好きな焼き加減で、手軽に食べられるのが魅力だ。こうした需要を喚起するためにも、精肉売り場では、肉のプロが勧める食べ方をコト販促としての「焼き方動画」や「レシピ動画」で来店客に伝える工夫が求められる。

 

 今年は国産牛肉や米国産牛肉に関しては昨年より割安なため、量販店でも部位を小割りし、希少部位のラインアップを強化するとよい。好きな部位をたくさん食べてもらえるように、「よりどりセール」など買い上げ点数を上げる提案も有効だ。味付け肉を含め、肉の鮮度にこだわることは言うまでもない。

 

 対面販売がある店舗では、50㌘程度の極小トレーで陳列。3つで1380円など、組み合わせ自由のプチオーダーセットにし、色々な希少部位を味わえるようにすると、楽しみが増す。

 

 

自宅で焼き肉を楽しむなら、日常的に活用しているホットプレートで楽しみたい。一度に大量の肉を調理しようとするとホットプレートの温度が下がり、おいしく焼き上がらないため、1枚ずつ丁寧に焼くイメージで調理するとよい。肉を焼くときに染み出るうまみ肉汁を、ナスやニンジンなどの野菜に吸わせると絶品だ。

 

 

レシピ提案も有効

 単に肉を焼いて食べるだけでなく、肉の部位ごとに好みの味付けを追求したり、味付け肉を使った料理に挑戦したりするなど、一工夫するのも楽しい。店頭でそうしたレシピを提案すれば、売り場の活性化につながる。

 

 例えば「肉巻きライスバー」は、ご飯に片栗粉をまぶして、割りばしにきりたんぽ状に成形。その上に豚スライス肉をらせん状に巻き付け、焼き肉のたれを塗りながら焼く。たれが焦げないように、こまめに回し焼きするのがポイントだ。国産豚肉や黒豚のバラ肉、肩ロース肉を使うと巻きやすく、ほどよい脂肪がご飯に染み込んで絶品。

 

 

 「漬けステーキ」は、1枚200㌘程度の厚切りリブロースステーキ用肉に焼き肉のたれをもみ込み、常温で30分間漬け込む。肉表面のたれを軽くふき取り、片面30秒ずつ強火で焼き、肉の厚みに応じて片面1~5分ずつ弱火から中火で加熱する。

 

 

 そのまま食べるより、アルミホイルに包んで数分休ませると、厚切り肉の中心までじっくり火が通る。グラスフェッドの手ごろな肉でも十分に楽しめる調理法だ。今注目のウルグアイ産牛肉キューブロールは小ぶりなため、200㌘でも豪州産や米国産に比べ分厚く提供できる利点がある。

 

 焼いた肉に滴るほどのたれをつけ、卵かけご飯にのせて食べる「焼き肉のせTKG」は、誰もが知る焼き肉のうまい食べ方だろう。卵白をハンドミキサーでメレンゲ状にすれば「ふわとろTKG」が完成する。

 

 使用する肉は、黒毛和牛三角バラがお勧めだ。例年より和牛相場が割安なため、サシの入った5等級の三角バラを売り込むことで、いつもより満足度の高い焼き肉にできるだろう。

 

 

 

※参考 エバラ「おいしいレシピ」ホームページ ⇒ https://www.ebarafoods.com/recipe/